10年やって、自分たちの「少年性」をやっと認知できた。OKAMOTO’Sの苦味と甘み

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OKAMOTO'Sが今年、10周年を迎える。中学校の同級生同士で10代でデビューし、その若さにそぐわないほどの音楽的滋養を吸収。高いスキルでグループ外の仕事を精力的に行うメンバーもいて(ハマ・オカモトは星野源をはじめ、さまざまなアーティストのレコーディングや、ライブサポートでもおなじみだ)、90年代生まれのバンドとしてはトレンドより早くグルーヴィなファンクミュージックにもアプローチしてきたし、60〜70年代のバンド然としたロックオペラ的な作品にも挑んだ。

その一方で、若くしてデビューしたバンドゆえにシーンを見通してしまえる冷静さ、ある種の“苦味”も身に付いたのだ。

4人が今年のデビュー10周年にリリースするアルバムタイトルは「BOY」。そして6月には初の武道館ライブが控えている。メンバーが27、28歳になった今も追いかけ続ける夢、そして現実とは。

撮影/網中健太 編集・文/石角友香 企画/武藤寛奈
写真左から、
ハマ・オカモト(Bass)、
オカモトレイジ(Drums)、
オカモトショウ(Vox)、
オカモトコウキ(Guitar)。

音楽は買う時代ではなくなったからこそむしろピュアになっている

まず、デビュー10周年のアルバムがどう生まれてきたのか、教えていただけますか。
オカモトショウ(以下、ショウ) 10周年は大きな節目ですし、何よりそこで初武道館ワンマンをやろうというプランはアルバムを制作する前からあったので。特に歌詞の面ではそういう意識は確実にありました。

ただ10周年をコンセプトに作ったというよりは、ノーコンセプトで8枚目のアルバムを作ろうという前提があった上で、「10周年に出るアルバムだね」という温度感でした。自然にそういう曲が集まってきたというか。
収録曲「Dreaming Man」の、怒りを込めたような歌詞をはじめとして、このアルバムでの“BOY”は楽観的ではないし“苦味”があるなと思いました。
オカモトレイジ(以下、レイジ) 気付いたらそういう内容になってたって感じですね。もう年齢的には完全に少年じゃなくなっちゃったけど、少年でいなければいけない宿命もあるし、少年な部分はいつまでも少年で変わらない。なんとも言えないモヤがかったものをずっと感じていました。

それが気付いたら10年間を振り返るような内容だったり、10年前の自分が聴いても恥ずかしくないようなサウンドにつながっていて。それで、“BOY”って言葉が見つかってきた感じですね。
ショウ いつまでも“求めすぎ”なところもあるんですよ。そんなにコンプレックスに思わなくていいことをいつまでもコンプレックスだと思っていたり。ただ、その危機感のようなものがあるからこそ、もっと頑張らないとまだ俺たちの音楽は全然伝わってないな、という思いもあって。
なるほど。
ショウ ポジティブに見ると、いまだにそう思えているおかげで10年があっという間だったような気もしますし。あとはなんと言うのが正しいか…10代で始めたので、その頃のみんなのピュアさったらなかったというか。何も分からなくて、とにかく音楽がやりたいというエネルギーが爆発せんばかりだった。それが10年経つと、やっぱりすり減るところはすり減るんだなと思う反面、音楽への愛が変わったとは思わない。

変わった部分、変わっていない部分、思い返すといろいろありますが、割と苦い気持ちになることの方が多かった気がして。そこを今回のアルバムにはなるだけ素直に出せたらいいなという思いはありました。
OKAMOTO’Sって音楽的に同世代のバンドより世界的な潮流の“消化”が早いと思うんですね。今回のアルバムではもうすでに、最近のブームだったファンクミュージック的なことはやってないというのもひとつあると思います。
ショウ まさに。最初はファンク的な作品にしようとしていたのですが、デモを作ってみんなで合わせだしたらそのファンクの要素が全部ロックの8ビートに変わっていって(笑)。自分たち的に「飽きてきた」わけではないけど、4人の中で漂うムードとして、新しいところに進もうとしていました。
レイジ 落ち着いてらんないんですよ。
オカモトコウキ(以下、コウキ) 「広がってきたかな」と思う頃にはもう次のところに行っちゃってるから、思い返すと「なんだったんだろ?」ってなることも多い(笑)。
ハマ・オカモト(以下、ハマ) そもそも流行りも変わってきていますしね。前作「NO MORE MUSIC」をリリースした時は分かりやすい16ビートな感じが世間的に広く受け入れられていた気がしていましたが、そういったことをやっていたバンドも今はあまりやらなくなっていますし、シーン的にそんなにもう見受けられないですよね。
レイジ “流行”ってものが本当になくなってきましたね。
視聴者のリスニング環境も変わってきましたし、余計に分かりやすいトレンドってなくなるんだろうなと思いますね。
レイジ YouTube Musicは本当にすごい。一般人がアップしてる動画を音楽として聴けるから、めちゃめちゃレアな音源をサブスク(定期購入)的な感覚で聴ける。だから音楽はもう完全に世界でマーチャンダイズ(商品)を売るためのプロモーションツールになってきましたね。それが一番正しいビジネスモデルになってきた気がします。
そういう風に10年の間に劇的に変わった出来事って記憶にありますか?
コウキ 僕らがデビューした頃はロックバンドが出てきて、大きいタイアップが付いて“普通に売れる”コースがまだかろうじてあったぐらいの感じがしてましたけど、だんだん崩壊していって、そういう“王道パターン”のようなものは完全になくなったなという気はします。
レイジ だからこそ逆に良い曲や、良い音楽じゃないとヒットしない時代になってきてる、それは良いことだと思いますけどね。

ただ、音楽がもうお金で買うものじゃなくなってきてるから。ヒットって、たとえCDが1枚も売れてなくても…例えば「PPAP」(ピコ太郎)のCDってあまり持ってる人を見たことないけど、大ヒット曲じゃないですか。あれが良い曲か悪い曲かは別として、人の心に刺さって耳に残るイコール、ヒットというか。だから評価がピュアになってきている気はしますけどね。
確かに、CDにお金を払うとそこに対してベットした(賭けた)意思が働くから、ちょっと贔屓目になったりしますよね。
ハマ 意地が出ますよね(笑)。「よく分からないからもう1回聴こう」というか。
ショウ 前まで自分はまさにそうやってお金をかけてベットして買って、無理にでも愛したおかげでいろいろな世界が広がったし、そういう音楽の聴き方をしていました。

でもそうじゃない今の流れも、本質的にはレイジが言ったようなピュアな評価につながると思ったので、今の聴き方を肯定できるようなものの見方をしたいと思って、「Dreaming Man」の歌詞を書いていました。そういう新しい聴き方って当たり前でしょ、という思いもありますね。

やっと自分たちが持つ少年性を認知できるようになった

今回のアルバムの中で今の自分に一番しっくりきている曲を教えてもらってもいいですか?
レイジ 今の自分ですか?…俺は「Higher」かな。バンドというフォーマットで、できる限り一番時代に適応したアレンジができたかな?って感じがします。クラブミュージックになり過ぎずに、でもバンド以上のパワーを発揮できていると思います。
コウキ 僕は「DOOR」が好きですね。すごくビートルズが好きなので、今までは逆にストレートにそういうことを表現できなかったんですけど、この曲ではそれができた。
レイジ 自分で「すごくビートルズが好きなんですけど」って言えるのが(笑)。大人になったね。
コウキ 言えるようになったんだ、最近(笑)。
ハマ ビートルズがテーマのトークイベントなんかにも出演していたりしますしね。本当にビートルズオタクの人しか来ないようなところにも堂々と出ていって。
レイジ トークイベントで「あ、それは知らないです」ってなる瞬間はなかった?
コウキ それはなかったかな。でも値踏みされてる感はひしひしと感じたよ。その時に僕が、「サージェント・ペパーズ(ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド)」のオリジナル盤を「今日これに出るために買って来たんです」と言ってかけたら会場が「あ、いいね!」という雰囲気になって、少し認めてもらえました。
(笑)。
コウキ それに「DOOR」はNHKの「みんなのうた」で流れていて、そこに大きな効果があるとそこまで思っていなかったものの、意外に「この曲誰なんだろうと思ったら OKAMOTO’Sだった」って呟いてる人が結構いて。そういう効果を感じられて良かったなと。
ハマさんはいかがですか?
ハマ なんだろうな?「Dreaming Man」なんかは気を遣わなくていいな、ラクだなと思います。本来やってきたことというか、何にも考えないで演奏できるので。8ビート最高!という感じになってますよ(笑)。

趣味嗜好で言うと「偶然」のような音楽や、それこそ「Higher」のベースラインなどに思い入れはありますが、それは自分の本質じゃないというか、まだまだ分かってない中でやっている面白さだったりするので。「Dreaming Man」のような曲の演奏は、どう表現するのが良いか…多分床に寝ていても弾ける感じというか。
ショウさんは作者なんで、選ぶの大変だと思いますが。
ショウ 「Dancing Boy」ですかね。
暗い歌詞の曲が続く中で、最後にこの前向きな「Dancing Boy」があってほっとしました。
ショウ 「Dancing Boy」を1曲目に持ってこようという話もあったんですよ。それぐらいメンバー4人的には気に入ってる曲でしたし、あと、LOVE PSYCHEDELICOのNAOKIさんと一緒にやって、1曲のレコーディングに1カ月半ぐらいかけています。実はだいぶ特殊な録り方をしていて。それだけに思い入れもありますし。

こういうミドルテンポの、簡単に言うと「泣ける曲ですね」という曲調の楽曲は、一番陳腐になりがちだと思っていて。でもそこを「10周年だから」ということも踏まえ、ゼロから書けたのが自分たち的に大きい出来事になったなと思っています。
“BOY”ってキーワードに収斂していったアルバム全体のニュアンスがあるわけですよね。そこに全然違和感はなかったです。“BOY”と“ロックバンド”っていうのは並列するものじゃないですか。
ショウ そうなんです。10年やって初めて自分たちが持っている少年性のようなものを認知できるぐらい冷静になれたところもあるのかもしれないですね(笑)。

当たり前のことほど、表現としては強いわけじゃないですか。自分にとって当たり前のことが、実は意外と自分の個性だったりするというか。でも当たり前過ぎて見えないこともたくさんある反面、ようやく俺たちは“BOY”ということまで、俯瞰して見えるようになったんだろうなと思います。
デビュー当初は“BOY”の当事者性が強過ぎたんでしょうね。
ショウ まさに。そこまで意識して“BOY”という言葉をタイトルとして付けられた。

BOYはGIRLについて語れないんですよ

最後に、今回のアルバムタイトルが“BOY”であることを踏まえてOKAMOTO’Sの“GIRL”観を聞かせてもらえますか?
ハマ 難しいですね(笑)。GIRLはGIRLの時点でLADYでもあるというか。実体験として、6歳ぐらいの女の子には、今のこのインタビューくらいのテンションで話しかけても会話が成立するじゃないですか。だから子ども扱いして迂闊に「GIRL」と呼んではいけないなと。BOYはGIRLに対しての扱いがまだ上手ではないですし、GIRLについてうまく語れないんですよ(笑)。
OKAMOTO'Sオカモトズ
中学校の同級生であるオカモトショウ(Vox)、オカモトコウキ(Guitar)、ハマ・オカモト(Bass)、オカモトレイジ(Drums)からなるロックバンド。2009年、デビューアルバム「Here are OKAMOTO’S」リリース。翌年には日本人男子としては最年少でアメリカの音楽フェス「SxSw2010」に出演。ニューアルバム「BOY」はオリジナル8作目。また、6月27日には「OKAMOTO’S 10th ANNIVERSARY LIVE“LAST BOY”」を日本武道館で開催する

作品紹介

オリジナルアルバム「BOY」
1月9日(水)リリース
【初回生産限定盤】(CD+DVD)¥3800+tax
【通常盤】(CD)¥3300+tax
【完全生産限定アナログ盤】(アナログ12インチ)¥4500+tax
特設サイト

サイン入りポラプレゼント

今回インタビューをさせていただいた、OKAMOTO'Sのサイン入りポラを抽選で3名様にプレゼント。ご希望の方は、下記の項目をご確認いただいたうえ、奮ってご応募ください。

応募方法
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受付期間
2019年1月9日(土)18:00〜1月15日(火)18:00
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  • 当選者発表後の流れ/当選者様にはライブドアニュース運営スタッフから1月17日(木)中に、ダイレクトメッセージでご連絡させていただき2019年1月20日(日)までに当選者様からのお返事が確認できない場合は、当選の権利を無効とさせていただきます。
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