2020年頃に太陽系を脱出する無人探査機「ニュー・ホライズンズ」に、「人類からエイリアンへ向けたデジタル・メッセージ」を公募して送信するというプロジェクトが開始された。

「2020年、任務を終えた探査機に送信される人類からのメッセージ」の写真・リンク付きの記事はこちら

現在、木星から冥王星を目指して宇宙空間を進んでいる無人探査機「ニュー・ホライズンズ」は、あと約1年で冥王星に到達し、凍った地表を初めて近接撮影する。

その後ニュー・ホライズンズは、凍った小惑星が太陽系の果てに集まったカイパーベルトで何らかの天体を探査することになっているが、その天体はまだ決まっていない。ミッションチームは、研究にふさわしい天体を探し出すため、ハッブル宇宙望遠鏡等を使って目標を検討している

2020年頃、カイパーベルトの探査がすべて完了した段階で、米航空宇宙局(NASA)は最後に、ニュー・ホライズンズへ向けて、あるデータを送信することになった。人類からエイリアンたちへ向けたデジタル・メッセージだ。

ニュー・ホライズンズはこのメッセージを、太陽の影響圏の外にある未知の暗闇へと運び出す(太陽系外に出る人工構造物としては、パイオニア10号と11号、ボイジャー1号(日本語版記事)と2号(日本語版記事)に続いて5番目になる。これら5機の軌道図や現在位置がわかるサイトはこちら)。


ゴールデンレコードのジャケット。1977年に打ち上げられたボイジャー探査機に搭載された。image: Wikimedia Commons

この計画は、ボイジャー1号とボイジャー2号に積み込まれた「ゴールデンレコード」に似ている。ゴールデンレコードには、アナログ録音と複数の画像が収められている。

ボイジャーに積載されたゴールデンレコードのデザイン責任者であるジョン・ロンバーグが、ニュー・ホライズンズにも同趣旨のメッセージを搭載しようと呼びかけて、「New Horizons Message Initiative」が結成された。ニュー・ホライズンズはすでに2006年に打ち上げられており、物理的な記録は無理であるため、世界中の人からメッセージを公募して、デジタル化してニュー・ホライズンズに送信するという計画だ。

NASAの同意は受けたが、データ送信などにも資金が必要だ。そこでロンバーグ氏は、向こう3年間の費用を調達するため、「Kickstarter」を通じて約500,000ドルのクラウド・ファンディングを行う。プロジェクトについては、2014年8月25日に公式発表が行われる予定だ。

※冥王星軌道からの通信速度は僅か800bps弱となるため、冥王星探査で取得したデータは、地球への送信に数カ月かかる。ニュー・ホライズンズは8GB相当のフラッシュメモリを搭載しているが、任務完了までは記憶容量に余裕がないため、今回のプロジェクトでニュー・ホライズンズへのメッセージ送信は、すべての任務が完了した後になるという。

なお、ニュー・ホライズンズには、ミッション用機器のほかに、星条旗や公募した43万人の名前が記録されたCD-ROM、史上初の民間宇宙船「スペースシップワン」の機体の一部だったカーボンファイバーの破片、冥王星を発見したクライド・トンボーの遺灰が搭載されている

TAG

HeadlineNewsmemoryNASASpaceSpacecraftVoyagerWiredUK