こんにちは、おしぃです。
東京都千代田区飯田橋
その飯田橋の一角にある小さな公園
このお話は、その公園に住む2匹のアリ
「イーダ」と「チョーダ」のお話です
イーダ:「いててて・・・」
チョーダ:「ん?どげんしたと?」
イーダ:「左の二足目のスジ痛めてさ、辛いわ」
チョーダ:「あ〜それは辛かね、
うちにあるシップ薬ば貸そうか?」
イーダ:「いや、いいわ。まだ回るし」
チョーダ:「でも、なんでスジ痛めたと?」
イーダ:「朝さ、人間に踏まれそうになっただろ?」
チョーダ:「そうやったっけ?」
イーダ:「ほら、やたら分厚い靴底の女」
チョーダ:「あ〜思い出した、あいつね」
イーダ:「あの時、ジャンプして避けてスジつった」
チョーダ:「あの状態からのジャンプって難しかもんね」
イーダ:「人間ってアリの命を軽く見てるよな」
チョーダ:「いや〜、そげんことなかよ」
イーダ:「なんでそう思う?」
チョーダは辺りを見回して誰も居ない事を確認し
イーダの耳元でコッソリ言った。
チョーダ:「誰にも言ったらいかんよ?」
イーダ:「え・・・?あ、おう・・・わかった・・・」
チョーダ:「俺さ、こないだ聞いたっちゃんね」
イーダ:「何を?」
チョーダ:「バッタのヒロシおるやん?」
イーダ:「ああ、ヒロシね」
チョーダ:「人間がくさ、ヒロシの事ばバッタって呼びよったと」
イーダ:「は?」
チョーダ:「バッタって呼びよったとよ」
イーダ:「いや・・・ヒロシはバッタだろ・・・?」
チョーダ:「いいけん最後まで聞かんね」
イーダ:「お・・・おう・・・??」
チョーダ:「その後にくさ、俺の事ばアリさんって呼んだとよ」
イーダ:「いや・・・俺らはアリだろ・・・?」
チョーダ:「まだ解らんとな?」
イーダ:「全然わからん・・・何?」
チョーダ:「俺らアリにだけ”さん”ば付けとるやん」
イーダ:「おお!」
チョーダ:「ヒロシはバッタ、俺らはアリ”さん”やぞ」
イーダ:「おおおおお!スゲエ!!」
チョーダ:「人間はちゃんと見とるとよ。真面目に働く俺らの姿を!」
イーダ:「やべっ、俺、感動して涙でそう」
チョーダはポケットからスマートフォンを取り出して
あるアプリをイーダに見せた。
チョーダ:「しかもくさ、このアプリば見てんね」
イーダ:「”昆虫図鑑”?」イーダ:「カブトムシでけえな、奴はやっぱりキングだよ」チョーダ:「そこじゃなか!」
イーダ:「え?じゃあどこ見ればいいんだよ?」
チョーダ:「どの昆虫も”さん”が付いて無かろーが!!」
イーダ:「げええ!!マジだ!!呼び捨てだ!!」
チョーダ:「そう!!人間にとって俺らは”超昆虫”!!」
イーダ:「でもさ、チョーダ・・・ひとつ聞いていい?」
チョーダ:「何?」
イーダ:「このアプリさ、アリが見当たらないんだけど?」
チョーダ:「そ・・・それは、あれたい・・・」
イーダ:「あれ?」
チョーダ:「これは”昆虫”の図鑑やぞ、俺らは”超昆虫”!!」
イーダ:「チョーダ・・・」
チョーダ:「・・・・」
イーダ:「お前、マジですげえよ!!」
チョーダ:「超昆虫!!」
イーダ:「超昆虫!!」
チョーダ:「超昆虫!!」
イーダ:「超昆虫!!」
こうして、公園の夜はふけて行くのであった。
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