ナポリにもっとも似た町というと、間違いなくベトナムのホーチミンだ。もちろん、アジアにあるフランスの旧植民地とギリシア時代にまで遡るヨーロッパの古都では街並みがまったくちがうし、道路を走っているのもオートバイではなくスクーター(ベスパ)だが、そのスクーターの集団がけたたましいクラクションを鳴らして道路を渡る歩行者に突っ込んでいくところがホーチミンにそっくりなのだ。

 ナポリにはたしかに活気がある。だがそれは、ヨーロッパの“都”であるミラノやローマとはちがって、新興国の喧騒に近い。

 そんなナポリで、奇妙な光景を見た。

 夕方、街を散策していると、ナポリ湾に面したヌオーヴォ城の入口あたりで、黒人の物売りたちがバッグなどの革製品を売っていた。翌日、スパッカ・ナポリ(旧市街)を訪れたときも、古い教会の前にやはり黒人の物売りがいた。

 ナポリ有数の観光地で、外国人が勝手に商売できるはずはない。日本のテキ屋稼業と同じで、当然、ショバを仕切るヤクザの許可を得ているはずだ。しかしなぜ、ナポリのど真ん中で黒人がパチモノ(偽ブランド品)を堂々と売っているのだろうか。

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