■チームは新たな局面に突入しようとしている

現状のチーム強化と並行して、指揮官はピッチ外の仕事にも取り組んでいる。一つの例として、多くの練習生を招き入れていることが挙げられる。「今オフは大学生、高校生の若手選手を5人くらいは獲りたい」と隠し玉の新卒選手発掘に意欲を燃やしており、この夏休みの期間、チームには毎日10人ほどの練習生が帯同していた。顔ぶれも多彩で、大学生もいれば高校生もいる。JFAアカデミーやJリーグユースからも参加している。もちろん地元選手の獲得もやぶさかではなく、長野県の高校生ではナンバーワンと評価する宮下周歩(創造学園高校)をチーム初の強化指定選手として登録したのもその一環だ。

トレーニングの準備からスカウティング、ピッチ外の諸事まで。二人分三人分の仕事をこなしつつも「恐らくバルセロナで指揮をしても、こうなっちゃうだろうな」と語るその表情に暗さはない。松本での『サッカー漬け』の日々を送る指揮官のもと、チームは新たな局面に突入しようとしている。

■著者プロフィール
多岐太宿
物書きを目指していた2004年末、地元に偶然にもアルウィンと松本山雅FCがあったことから密着を開始。以来、クラブの成長と紆余曲折を偶然にも同時進行で体感する幸運に恵まれる。クラブ公式、県内情報誌、フリーペーパー等に寄稿。クラブの全国区昇格を機に、自身も全国区昇格を目指して悪戦苦闘中。