サッカージャーナル編集部です。アトランタ五輪プレイバック:「28年の壁」をこじあけた日本、そして「マイアミの奇跡」シドニー五輪プレイバック:赤鬼・トルシエと若きタレント集団との格闘 に引き続き、元川悦子氏によるオリンピック過去3大会の振り返りコラムを掲載いたします。最終回となる今週は、アテネ五輪についてのプレイバックです。

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 2004年アテネ五輪を戦った81〜84年生まれの世代は、今夏のロンドン五輪に挑む89〜92年生まれの世代といくつか共通する部分がある。

 1つはジュニアユース、ユース世代での国際経験が乏しいことだ。アテネ五輪世代は2001年アルゼンチン、2003年UAEのワールドユースに出ているが、世界相手に勝った経験は少ない。77〜80年生まれのシドニー五輪世代が、99年ワールドユース(ナイジェリア)準優勝など華々しい実績を残したこともあって、「谷間の世代」という不本意な称号を与えられ続けてきた。

 ロンドン世代も2007年韓国、2009年ナイジェリアのU−17W杯に出場した経験はあるものの、やはり成功体験はなく、U−20W杯に至っては続けざまに逃している。1世代上の北京世代に本田圭佑(CSKA)や長友佑都(インテル)らがいたことと比較され、「強烈な個性が少ない」と低評価を受けることが多かった。

 アジア最終予選の後、オーバーエイジを使う判断を下したのも一緒。アテネ五輪五輪を率いた山本昌邦監督は小野伸二、高原直泰(ともに清水)、曽ヶ端準(鹿島)の黄金世代3人を選んだが、高原が肺動脈血栓塞栓(そくせん)症を再発させ、小野も合流が直前になるなど融合がうまくいかなかった。関塚隆監督率いるロンドン五輪も24歳以上の選手を合流させるのが7月からになる見通しで、既存戦力との連係面が懸念される。

 果たして、ロンドン五輪代表は8年前のように、1次リーグ敗退を余儀なくされてしまうのか…。なぜ山本ジャパンがそういう軌跡をたどったのかをチーム作りの段階からあらためて振り返ってみることにする。