「そんな怖いもの見せないで……でも、気になるからちょっと見たい」人間はなぜそんな矛盾した感情を抱くのだろうか。風物詩の様に毎年夏には、心霊番組の放送やホラー映画を上映が行われる。まだ6月で季節は少し早いが、youtubeで予告編が2,200万回も再生された恐怖映画が上映中だ。だが、この映画は普通のホラー映画ではない。最高に楽しむためには、“3つのルール”を守らなければならない。

グレイヴ・エンカウンターズ

超常現象を追う番組「グレイヴ・エンカウンターズ」のプロデューサー、ランスと調査隊は番組制作のため、コリンウッド精神科病院を訪れていた。そこは現在閉鎖中で、幽霊を見たという証言が数多く寄せられているいわくつきの場所だった。しかし、超常現象を信じていないランスたちは、軽い気持ちでカメラを手に病院内部に入ってしまい――。(特集へ

ルール1:期待して観に行かないこと

 最初に、youtubeで予告編が2,200万回再生されたと話したが、超大作のつもりで劇場に足を運んではいけない。はっきり言うが、この映画は“低予算”映画だ。だから、すごいVFXが使われているとか、トップスターが出ているとか、本物の霊の映像で死ぬほど怖い思いをするとか、そんな大きな期待をして観に行くと完全に裏切られるだろう。案の定、そういう輩がいたようで…

【まとめ】ホラー映画「グレイヴ・エンカウンターズ」の公開後の評判が散々な事に

 こんなことを散々に言われている。だが、そうではないのだ。映画というよりは、お化け屋敷に行く様な感覚で“気軽に”劇場に行こう。そうすれば楽しいポイントがたくさん見つかる。お化け屋敷に入った後に「つーか、作りもんじゃん」って怒る奴はいないだろう。最初から作り物とわかって入場するからだ。

ルール2:ホラーの笑いを否定するべからず

 この作品は、ホラーなのだが、思わず笑ってしまうシーンが多々ある。インチキ霊能力者が自分の立場を忘れてうろたえてしまいプロデューサーから「プロだったら役に徹しろ」とか怒られたり、気性の荒い技術スタッフが幽霊に喧嘩を売ったりと数々の滑稽な場面がある。挙句の果ては「こっ、これは!ドリフか?」というような幽霊の登場シーンもあるのだ。「キャー」という悲鳴ではなく、「クッククッ」と笑いをこらえる声が劇場のいたるところで聞こえそうである。「ホラーなのにそれで良いのか?」と疑問に思う方もいるだろう。良いのだ。良いではないか、笑ってしまう場面があっても。笑いが出るということは、それだけ楽しんでいるということだ。ホラーの“恐怖”だけではなく“笑い”も体感できて一挙両得と思うべし。

ルール3:二人以上で観るべし

 これはルールというよりは、こうした方がお勧めということだ。この映画は、スタンダードなホラー映画と違って、ツッコミどころが満載である。一人で“名作鑑賞”的にじっくりと堪能するものではない。こういう類の映画は、観終わった後が楽しいのだ。上映終了後、劇場を一歩出た瞬間、あなたと友達はお互いに顔を見合せて爆笑することだろう。そして、この映画のネタについて、どんどん口から言葉があふれてくる。そして、居酒屋に入り、1時間はこの映画の話題で楽しめることだろう。そういう映画なのだ。だからこそ複数の仲の良い友達と観に行くことをお勧めする。

 公開から2週間経ち、徐々に上映館数が減ってきている。劇場だと、終わるまで「物申す」ことを我慢しなければいけないので、その分、思いが積り積もっていく。そして、居酒屋でトークが大爆発することだろう。家でDVDを観るよりも深く楽しむことができる。だから公開終了前に、ぜひとも友達を誘って欲しい。誘い文句は「笑えるホラー映画あるんだけど、どう?」だ。


ヒーロー妄想のカンタの所見評価

恐怖度:★★★

おもしろ度:★★★

飲み会のネタ度:★★★★★

一覧を見る

『グレイヴ・エンカウンターズ』 - MOVIE ENTER特集
クロックワークス (2000-04-28)
売り上げランキング: 26677
【MOVIE ENTER 特別連載】
編集部的映画批評 - 編集部がオススメ映画をピックアップ
オトナ女子映画部 - 恋する女子が観ておきたい
漫画コラム - いちおう妖ヶ劇場、好評連載中
DVDエンター - おすすめDVDをご紹介