長野県東御市の中学校教諭(35)が、高校1年生の女子生徒(16)を呼び出し駐車場に停めた車の中でみだらな行為をしたとして、3月28日、長野県警小諸署に逮捕された。
 「この事件自体は教師のありふれた“淫行”ですが、長野県には47都道府県で唯一、いわゆる『淫行条例』(県青少年健全〈保護〉育成条例のうちの淫行に関する項目)がなく、長野県81市町村でただ一つ、淫行規制項目を含む青少年健全育成条例を持つ東御市の条例違反容疑で逮捕されたことで注目が集まったのです」(社会部記者)

 被害に遭った生徒は、昨年3月に中学校を卒業するまでこの教師が担任するクラスの生徒だった。
 「それからも女子生徒はたびたび呼び出され、関係を迫られていたようです。思いあまった生徒が現在通う高校の関係者に相談し、通報がありました。こういう場合、立件が難しいのが通例ですが、今回は東御市の条例で立件することができました」(捜査関係者)

 長野県に『淫行条例』がないのは、表現の自由や営業の自由、財産権やプライバシーを規制する側面を持つ条例に反対する声が多いためだという。
 「県では、同種の問題は児童福祉法で解決できると考えられてきました。しかし、同法34条で『児童に淫行させる行為をしてはならない』という規定がありますが、この文言は“自分以外の第三者”を指すと考えられ、淫行した当人を罰せられるかどうかは解釈による。また売春防止法には、買った側に罰則規定がなく、'99年に成立した児童買春・ポルノ禁止法も、内容や年齢によって単なるわいせつ行為や強姦には適用しづらいところがあり、警察は苦労しているようです」(地元紙記者)

 今回、東御市の条例が適用できたのは長野県警にとって奇跡のようなものだった。