さらに、この変異体を用いてメチルビオロゲンの吸収能を調べた結果、野生型に比べて取り込み量が約4分の1と低下していることが判明(画像3)。

逆に、RMV1遺伝子の働きを過剰発現させた変異体は、高いメチルビオロゲン吸収能を示した。

つまり、RMV1タンパク質はメチルビオロゲン輸送体であることがわかったのである。

次に、水溶液中のメチルビオロゲンとポリアミンは、どちらも窒素原子が正電荷を帯びているという類似の構造部分がある(画像4)ことと、外から加えたポリアミンがメチルビオロゲンの毒性を緩和するという知見から、RMV1タンパク質がポリアミン輸送に関わることを予想。

実際に、RMV1遺伝子の働きを過剰発現させた変異体のポリアミン吸収能を調べたところ、RMV1タンパク質が増加し、野生型より約3倍のポリアミンを取り込んだことから(画像5)、RMV1タンパク質がポリアミン輸送体でもあると確認されたのである。

研究グループは今後、ストレス応答や老化の防止など、ポリアミンが持つさまざまな作用の分子メカニズムが解明され、人為的にポリアミンの濃度を操作できるようになるとストレス耐性の付与や作物の増産につながるとしている。

また、今回のの研究は理研バイオリソースセンターがリソースとして保有する野生系統とその交雑種を利用した実験であり、近年整備されつつある個々の系統の遺伝子配列情報を基に、アソシエーション解析という新しい手法を用いた点が特徴だ。

その結果、従来の遺伝子マッピング技術では何年もかかっていた原因遺伝子の同定を、7ヵ月という短期間で行うことができたとしている。