フレッシャーズ会員の大学生男女200人に、反抗期について尋ねたところ、47%もの人が、「自分には反抗期がなかった」と答えました。成長の過程ではつきものといわれる反抗期ですが、今どきの学生さん当てはまらないのでしょうか。また、それによる影響は? 心理カウンセラーの河合さんにお話を伺いました。

【自立のため、無意識に親を嫌いになるのが"反抗期"】
「もともと子どもは親が大好きで、甘えたいものです。ところが、いずれは親から離れて自立する必要があるために、ある時期になると無意識に親のあら探しをして、必死に嫌いになろうとするのです。その結果、両親に強い不満を感じ、反抗的な態度を取るようになる、これが反抗期です」(河合さん)

思春期のころ、親の言動をいちいち気に入らなく感じたのは、いわば「親離れのための動物的本能」だったんですね。河合さんによると、直接行動に表さなくても、親のことを面倒、苦手、うっとうしい、汚い......などと感じることも、反抗期の一種だそうです。その程度なら、ほとんどの人に覚えがあるのでは?

【"反抗期がなかった"と言う人がいるのはなぜ?】
「お兄ちゃん(お姉ちゃん)なんだからと言われて育ったり、両親が厳しかったりすると、『我慢すれば人生がうまくいく』というパターンを覚えることがあります。そうすると我慢して親から離れるという形で自立していき、目に見える形での反抗期にはならないことがあります。あるいは、自立しなければという自覚がなく、親べったりのままでいられる環境にあると、親を嫌いになる必要がないので、反抗期もないでしょう」(同)

自覚していないわけではなく、本当に反抗期を体験していない人もいるということですね。それはそれで幸せなのかなとも思いますが、大人になってから何か影響があるのでしょうか?

【反抗期がないと、自立できていない場合も】
「我慢して自立した場合は、離れたくない気持ちを抑え込んでいるだけですから、本当の意味での自立とは言えず、どこかで限界が来る可能性があります。極端な例では、暴力、ギャンブル、酒など、破滅的な形で爆発するかもしれないし、いつまでたっても就職や結婚ができない、すなわち親の期待に応えないという形で、無意識的な反抗をすることもあり得ます。
「親離れをしていない場合、結局自立できず、甘えの意識が残ったままなので、例えば友だちに疎まれたり、上司や同僚に信頼してもらえなかったり、といったことがあります」(同)。

とはいえ、反抗期の過ごし方は自分自身でコントロールできるものでもありません。大人になった今、反抗期がなかったと自覚している人は、どんなことに気を付ければいいのでしょうか。

【大切なのは、自分の力で自立すること】
「親離れの過程は、子ども時代ということもあり、本人の意思ではどうしようもないことも多いでしょう。しかし、そこから本当に自立するまでの道のりは、自分自身で切り開いていくものです。反抗期をどう過ごしたかよりも、どうやって本当の意味で自立していくかの方が大切なのだと思います」(同)

反抗期というのはあくまでプロセスであって、大事なのは「最終的に自立した人間になる」ということ。たとえ反抗期を体験していなくても、自分の意思で親からきちんと自立できれば、深刻な問題は回避できるといえそうです。反抗期はなかったかも......というあなたは、今現在、自立できていますか?

文●永井祐子(エフスタイル)
取材協力:心理カウンセラー 河合一孝さん
カウンセリングサービス所属
http://www.counselingservice.jp/