「こちらも真剣勝負なんです。変な選手をコンバインに連れて行ったら、来年から日本人選手の枠がなくなる可能性もある。今後、成功例を積み重ね、JリーグからMLSという流れが確立されれば、そこからさらに道は開けるでしょう。従来とは違った形での欧州進出も考えられる」

近年、Jリーガーの間で新しい活躍の場所にアメリカを選ぶことは徐々に理解が広まりつつある。MLSの実質的な下部リーグで、廣山望(リッチモンド・キッカーズ)、山田卓也(FCタンパベイ)らがプレーし、情報を持ち帰っている影響が大きい。認知度は着実に高まっており、これから2月下旬にかけて行われるMLS各クラブのプレシーズンキャンプには、Jリーグを代表するビッグネームが参加予定リストに名を連ねている。

さて、ドラフト指名を受けた山田の今後の予定だが、1月下旬から2月にかけて渡米し、C・ラビッツのキャンプに入る。正式に契約を結んだからといって一息つく余裕は与えられない。MLSは特殊な契約形態をとっており、7月までは企業における試用期間のようなもの。クラブ側の都合でいつでも契約解除が可能となっている。そこで自分の存在価値を明らかにし、契約続行を勝ち獲ることが当面の目標だ。

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■著者プロフィール
海江田哲朗
1972年、福岡県生まれ。主に東京ヴェルディ周辺雑記人。