そして、もう1つ気になった事は、この試合のバルサは、ハイプレスが機能していなかった事で、その理由として、この試合のバルサは、メッシだけではなく、他の全ての選手が、かなりパワーをセーブしながらやっていたのかな、という感じがありました。攻守の切り替えが遅かったり、ポジション取りが遅かったり、囲い込むスピードが遅かったり、らしくないな、という感じがありました。

確かに、運動量過多のサッカーは良く無い、ハイプレスもポジショニングという事が重要だ、という事は以前に書きましたが、しかし、やはりハイプレスを機能させるためには、ある程度の運動量の多さというのは確保されていなければならず、この試合のバルサの選手には、少し運動量が足りていなかったように思います。エンジンが最後まで温まらなかったかな、という印象でした。

FW:ペドロ セスク
MF:メッシ
MF:イニエスタ ブスケツ シャビ
DF:アビダル ピケ プジョル アウベス
GK:バルデス

後半途中から、エスパニョールがサイドの高い位置に選手を置いてきたので、バルサは4バックに変えました。また、サンチェスが封じられていたので、そのサンチェスに代えてペドロを入れました。ペドロはサンチェスよりもパフォーマンスが良く、個の仕掛けで左サイドを突破できるようになりましたが、やはりバイタルエリアを起点にした攻撃ができないと、なかなか決定的なチャンスは作れませんね。

エスパニョールが、基本的にボランチを2枚にしてからは、やっとバイタルエリアを起点にするような攻撃もできるようになってきて、それによって何回かはチャンスを作りましたが、エスパニョールの守備陣は、バイタルエリアのところからDFラインの裏を狙ったパスを出してくる、という事をよく意識していて、オフサイドを取られたり上手く対応されたりして、結局は2点目を奪えず終いでした。

FW:イニエスタ ペドロ
MF:メッシ
MF:ケイタ ブスケツ シャビ
DF:アビダル ピケ プジョル アウベス
GK:バルデス

という事で、なかなか攻守共に上手く機能しなかったバルサなんですが、しかし、スコアは「0−1」でリードしていましたから、残り時間が少なくなってきた事もあって、セスクに代えてケイタを投入し、このまま逃げ切る作戦に切り替えました。ところが、この交代采配の直後、エスパニョールに同点ゴールを奪われてしまいます。

左サイドを攻められ、オーバーラップしてきた右SBのラウル・ロドリゲスへパスが通り、その間にティエリがスルスルとゴール前へ。ピケはサイドへ釣り出されてしまっていましたが、左サイドのニアに入って来たティエリにはアビダル、ゴール前中央のアルバロ・バスケスにはプジョル、ファーサイドのセルヒオ・ガルシアにはアウベス、と枚数は足りていました。

しかし、アビダルがティエリにきちんと対応できず、そのティエリにニアで後ろにボールを頭ですらされてしまうと、プジョルでもさすがにそのボールには対応できず、ラウル・ロドリゲスに頭で決められてしまいました。このシーン、ファーにはセルヒオ・ガルシア、そして、マイナスのゴール前にはベルドゥもいて、リスクを背負って攻撃に人数をかけたエスパニョールの采配が、見事に功を奏したと言えると思います。

残りの約10分ぐらい、バルサは再び「3−4−3」に戻して、それによって決定的なチャンスは作りましたが、ラウル・ロドリゲスの疑惑の神の手でペドロのシュートを止められてしまい、試合はそのままスコア「1−1」で終了。首位のレアル・マドリードを追い掛ける立場のバルサとしては、痛い引き分けとなってしまいました。エスパニョールの良さ、バルサの悪さ、そして、不運もあって、この結果になってしまったかなと思います。

但し、1つ言える事は、バルサ対策にも答えが見え始めている事。そして、やはりバルサには、どうしてもパワーをセーブして戦わなければならない試合が、必ずシーズン中に何試合かはある事。その事に関しては、どうにもならないな、という事ですね。グアルディオラとしては、ベストメンバーにしてきましたし、そういうつもりは無かったと思うのですが、選手の方は、思った以上に動けなかったかなと思います。