場合によっては2バックになってしまうような、今のインテルの戦い方が機能しているのも、そういう守備をやっているから、できているから、という事ですね。特に長友は、SBでありながら、中盤に出て行ってのプレスが素早く、そして粘り強く、また、高い位置へ行ってしまった後でも、ボールが左サイドにあるならば、必ずプレスを掛けながら戻ってくるという事をやっていて、今現在、こういう事ができるSBは、長友以外にはいないのではないかなと思います。

イタリアサッカー界から批判されている時でも、いや、長友の守備の方が正しい、長友の人に対してしっかり守備をする守備がむしろインテルの守備を救っている、しかしながら、それを長友が1人だけでやっていても機能性は生まれない、全員がアタックとカバーのしっかりした守備をやらなければならない、前から前からという守備をやらなければならない、という事をずっと主張してきましたが、やっとそれが受け入れられてきたように思います。

但し、長友については、1つだけ、ずっと変わらない悪い癖、それがあるように思っています。それは何かと言うと、ボールから目を離して動いている時がある、という事ですね。例えばサムエルがボールを持っていて、長友はボールを受けようと動くのですが、その動いている時に、サムエルから目を離している、ボールから目を離して動いている、という時があります。

それから、左サイドで複数でプレスを掛けたシーンで、長友以外の選手で囲んでボールを奪い、マイボールにした時に、長友はボールを持っている選手やボールを見ないで後ろに下がって行くシーンがあって、ボールを持ったインテルの選手はチラっと長友の事を見たのですが、長友が「俺は関係ない」みたいな感じで動いているので長友にパスが出せず、というシーンもありました。

パスの出し手からしてみると、こちらを見ていない選手にパスを出すというのは、すごく不安に感じてしまいますし、また、パスを出すタイミングというのに迷いが生じてしまうので、かなりイラッとします。更には、そういう選手にパスを出してミスになった時に、出し手の方のミスみたいになってしまうので、そういう部分でも出し手の選手はかなりイラッとします。

細かいところですが、どんな時でもボールを持っている選手から目を離さないようにする事。特に、ビルドアップの時にボールを持っている選手から目を離す、近くにボールがある時にそこから目を離す、という事は厳禁ですね。守備の時には、人にしっかり付くために、一時的にボールから目を離す、ボールよりも人を優先して見る、という事は良いのですが、攻撃の時、特にビルドアップやボール回しの時、その時にボールから目を離すというのは、絶対にダメですね。

なぜか長友の場合には、数試合に何回か、そして、試合中に何回か、そういうプレーをしてしまう時があって、おそらくは、それは癖だと思っています。ふと、集中力を落としたくなる瞬間がある、そんな感じにも見えます。身体は休ませても頭は休ませない。出し手がパスを出すタイミングは受け手が作る事。特に海外の場合には、そこから個人技で打開するという事を前提にしたパスを出してくる事が多いので、常にその意識でパスを受けようとする事が重要になってくるかなと思います。