マリナーズの新しい投手、ヒサシ・イワクマのニックネームは”クマ”、日本語で”ベアー”の意味だ。日本では彼が行く所ならどこでもクマのシンボルがついてくる。彼のファンはプラカードを上げ、チームの看板やTシャツにも書かれている。

なので今年の夏のセーフコ・フィールドでも、いくらかのクマのシンボルマークが見られるだろう。

マリナーズフロントはまた、彼に馬になってほしいと思っている。馬車馬だ。

実際に契約全体は、それを想定して組み立てられている。もしイワクマが200イニング、30先発を投げることが出来れば4.9百万ドルを受け取る事ができる。それはいくつかのチームが提示した複数年契約のオファーを超えるものだ。

それはまた、昨年オークランド・アスレチックスがオファーした複数年契約より低いが、それは肩の怪我による懸念が原因だ。

「双方にとって、とても良い内容だと思う」マリナーズのジャック・ズレンシックGMは、今晩行われた電話での記者会見で言った。「彼はアメリカで投げたがっているし、短い時間だったがシアトルに来たときに楽しんでもらった。彼は球団にとても親近感をもってくれた。私は彼に、アメリカでの地位を確立してほしいと思っているし、それを見守りたい」

イワクマも電話での記者会見に参加し、通訳を通しこれはお金の問題ではないと言った。

私たちは以前に、彼が12月中旬に妻と共にシアトルを訪れ、4,5日間で街を見て廻ったと伝えた。その滞在中に彼らは、住む家と娘たち(一人目が小学校に通う年齢で、二人目が数ヶ月前に生まれたばかり)が通う学校を視察していた。

彼らはそのうちの1日にズレンシックと夕食を共にし、その時彼はいかにイワクマがシアトルに必要なのかを強く印象づけた。その事と、限られた滞在時間の中で彼らが街を良く知ることができたことで、彼らは他の5チームのオファーよりマリナーズが充分な環境を与えてくれると感じることができた。

イワクマはアスレチックスが19.1百万ドルのポスティングフィーで入札したあと契約が纏まらなかったことで、難しい1年を過ごした。話し合いが決裂したあとに代理人を変更し、昨年の夏にソスニック-コッブのポール・コッブと契約した。

コッブは今晩私に、チームがイワクマに与えた第一印象が、交渉においてとても重要だったと言った。彼らは彼を10月にアメリカに呼び、他のエリートアスリートがトレーニングしているアリゾナ州テンピーで練習する時間を作った。彼らは医師に彼の肩をテストさせ、結果はチームたちが興味を引くきっかけとなった。

それらのチームがより真剣になってきたら、イワクマの腕についての不安を和らげるために、一緒に健康診断を行った。彼は12月に滞在したうちの2日間でシアトルの健康診断を受けた。

「私たちは、彼がそれらのチームと実際に会って話すことがとても重要だと感じていた。なので彼は、何が起こっていて、彼らが何と言っているのかを知ることができた」コッブは言った。「私たちは、彼に話し合いにより直接的に関与することを望んだんだ。なので彼らは、彼が何を望んでいるのかを知ることができて、彼は彼らが探しているものを聞くことができた」

1年前のイワクマとアスレチックスの間は、そんなにダイレクトでは無かったのだ。

ズレンシックと直に持った話し合いが心境の変化をもたらした、と今晩イワクマは言った。

「シアトルは、本当に僕を必要としてくれた」イワクマは言った。「それが一番重要なこと」

イワクマは交渉中に、シアトルについてイチローに尋ねることをしなかった。二人は2009年のワールドベースボールクラシックでチームメイトだった。イワクマは今春アリゾナでそのリードオフバッターと再開し、シアトルで一緒にプレーすることを、とても楽しみにしていると言った。