しかし、立ち上がりの猛攻をなんとか凌ぎきった筑波は徐々にだが、劣勢から普通の試合に引き戻すことに成功。さらには前半は攻撃参加することが出来なかった山越が果敢な姿勢を見せ、ゴール前に顔を出すシーンも増えていく。そして筑波にとってこの日最大のチャンスは53分に訪れた。

左サイドから攻め上がる山越。そして中へクロスを入れると、待っていた赤崎はスルーして後ろでフリーとなった八反田がワンテンポおいてシュート! しかし、このシュートはDF(味方?)に当たってこぼれるが、これに山越が飛び込んでシュート! 決定的な場面を迎えたが、無情にもシュートは枠を逸れていく…

どうしても得点を奪えない筑波。

それにしても、ワントップに入った瀬沼はほとんどの時間で前を向いてプレーすることは出来なかった。やはりストライカーは前を向いたプレーをしてなんぼのもの。そしてもう一人の点取り屋である赤崎も、この日は専大の高い位置からのプレスの前に「らしさ」を出せず終い。

後半8分ぐらいからペースを掴みだし、得点を予感させるチャンスを作りながらも、それを活かせずに終盤を迎えてしまうとかなりイヤな雰囲気が漂い出す。同点に追いつきたいという思いが焦りになり、バランスを崩した形となってしまい、裏に大きなスペースが生まれだしてしまう… そして案の定、ラスト10分を切ったところからは再び専大が鋭い攻撃で筑波ゴールに襲いかかる。後半スタートから大西に代わって玉田が投入されたが、そうも調子がイマイチで周囲との連携もぎこちない。前半は流れるような展開が続いていたが後半は玉田のブレーキもあり、ややペースが乱れてしまった専大。

しかしだ、ここ数試合鉄壁の守りを見せる守備陣が粘り強く対応し、そしてベンチも玉田に代えて東を投入し、打開策を打ち出していく。調子のいいときというものは、1つの策で失敗しても2つ目の策で見事にリカバリーできるもの。そう、この東を投入したことで、再び躍動感が甦った専大。






75分には長澤がこの日5本目となるシュートを放ち、82分にもCKから筑波ゴールを脅かしていく。さらに86分には松本がシュート! またも決定的な場面であったが、守護神・三浦の好セーブがなんとか筑波を救っていく。だが、ロスタイムに突入して3分、再び町田→長澤の連携で崩されて試合終了間際にとどめとなる3点目をゲット。これで長澤は得点ランキング首位タイとなる12点目を決め快勝劇に華を添えた。

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この試合は今季の優勝を賭けた大一番となるはずの試合だったが、終わってみれば専大の完勝、いや圧勝で終わった。そして専大は勝ち点を39に伸ばし、さらに得失点差で2位明大に9、3位筑波に11と差をつけ、最終節を仮に敗戦で終えたとしてもありえないぐらいの大敗を喫しない限り優勝をほぼ確定的としたのである。

それにしてもシーズン当初、誰がこのリーグ展開、そして専大の躍進を予想したであろうか? 恥ずかしながら私は流経大を大本命に推していた。あれだけのメンバーを揃え、さらには高校時代からの実績もズバ抜けている。ワールドカップを体感してきた選手もいる。オリンピック予選を戦うメンバーもいる。しかしだ、フタを空けてみればノーマークの専大が自慢の攻撃力に磨きを掛けつつ、さらには試合を増していくごとに守備が安定し、実にバランスの取れたチームに成長していった。

そしてこの躍進を考える上で、監督である源平貴久氏の存在を忘れることは出来ないだろう。