TOEIC990点満点を27回更新。今や「イングリッシュ・モンスター」としてメディアにも引っ張りだこの菊池健彦さん。しかし、その裏にある経歴は決して華々しいものではなく、なんと英語は34歳から7年間の引きこもり時代にマスターしたものであるという。

 そんな菊池さんが今回刊行した『イングリッシュ・モンスター菊池の新TOEICテスト英単語1000』(扶桑社/刊)は、TOEICを受ける際には必ず押さえておきたい英単語が収録されている。そこで新刊JPはTOEIC受験者にとって大きな味方になる本書について、そして菊池さんご自身についてのインタビューを行った。
 後編となる今回は、TOEICで出題された問題のエピソードや今後の夢についてのお話を聞いてきた。


■もし海外に行けるとすれば「ミシシッピ川を見たい」

―今まで受けてきたTOEICの試験の中で、「これはないでしょう」と思った問題はなんですか?

菊池「これは僕のブログでも書かせていただいたのですが、物事が進捗する、進展するという英熟語で to make advance という言い方があります。僕は直感として to make advances だと思ったのですが、そこで余計なことを考えてしまって、進捗は基本的には数えることができないわけですから、to make advance が正解だと考えを改めたんです。そうしたら、もろに間違えちゃった。でも他の人も間違えたみたいで、最後は点をひかれなかったのですが(笑)」

―ブログを拝見いたしまして、海外で発行されている新聞・雑誌をたくさん読まれていらっしゃる印象を受けました。よく読んでいらっしゃる新聞・雑誌はなんですか?

菊池「今は『The Economist』ですね。でも、英語力をつけるということに限れば『The Japan Times』でも充分。すごく難しいですよ。TOEICの難しさを分数の足し算だとすると、(『The Japan Times』は)微積分くらいです。だから、TOEICの勉強のために海外の新聞や雑誌を読むのはあまり向かないと思いますが、最終的には必ずプラスになると思いますよ。特に自分の面白い分野を見つけるという意味でね」

―英語というと、若いうちから勉強しておいた方がいいというイメージがあります。菊池さん自身は34歳の頃から英語を勉強し始めていますが、英語を勉強し始める適切な年齢はありますか?

菊池「以前、埼玉にある大企業の工場にTOEICを教えに行ったことがあるのですが、50歳くらいの年輩の方が『今、この歳になって基礎英語を聞いて楽しんでいるけれど、あれは13歳の頭のやわらかい子ども向けだからやっても意味ないですよね』と言われていました。でも、そうではないんですよ。初心者だからこれから手を付けなきゃいけないというのは一切ありません。それはね、こちらの業界とか先生、役人、教材会社とかの算段であって、その人が50歳であろうが70歳であろうが、基礎英語を聞いて面白いのであれば、それが勉強なんです。だからじゃんじゃんやって欲しいですね」

―先ほどもおっしゃられていましたが、海外渡航経験がないというのはご自身の何らかのポリシーに基づくものなのですか?

菊池「全然! ただ怠け者だからですよ(笑)。あと、お金も時間もない。そしてやる気もないという理由です(笑)」

―もし1ヶ国、行けるとすれば何処に行きたいですか?

菊池「小学生の頃に『トム・ソーヤーの冒険』の日本語版を読み、そして社会人になって引きこもって勉強していたときに英語版を読み、とずっとハマっているので、死ぬまでに一度はミシシッピ川を見てみたいですね。
また、もう少し大人っぽいことを言うと、アメリカやイギリスといった英語を話している人たちの日本人に対する評価として、よく diversity がない、つまり多様性がないと言うんです。みんな同じだ、と。集団では役に立つ素晴らしい物を作れるけれど、個人では何もできない。個性がないと言ってくるんです。それに対して、例えば英語で forehead 、これは東京の言葉に直すと『おでこ』『ひたい』となりますが、津軽弁では『なんづき』というんです。つまり、言葉も全然違いますよね。津軽弁と東京弁の違いも多様性だと思いますし、それを主張したいんですが、彼らに反論するためには彼らの状態を見ないと迫力がないだろうな、と(笑)。だからニューヨークやロサンゼルスに住んでみたいと思いますね」

―今後の菊池さんの夢ややりたいことは何ですか?

菊池「夢ややりたいことに向かって努力するということは、一回もしたことがなくてですね(笑)、行き当たりばったりで生きてきたので。ただ、先ほどの工場の話もありましたが、英語はこうやって覚えていかなきゃいけないというのはなくて、自分が面白いと思えばそこから勉強が始まりますから。勉強の仕方は一人ひとり違います。
僕自身は1対1、まあ1対100でもいいからフェイス・トゥ・フェイスで教えているときが一番楽しいので、今は少し休業状態なんですが、チャンスがあればやりたいと思いますね」

<了>


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