コパ・アメリカに出場するか否か。先週から状況が少し動いたようだね。日本はこの大会に招待参加のため、欧州組の招集拘束力がない。しかし南米サッカー連盟と開催国アルゼンチンが特例を認めるようFIFAに働きかけ、欧州各クラブとも交渉をするという。そこで一定の人数が確保できれば、Jリーグ側も協力するとのことだ。

どんな思惑があるにせよ、南米サッカー連盟は超法規的措置を働きかけるほど、日本の出場を強く望んでいる。僕もこの大会に関しては、出場すべき、出場しなければならない、と強く思っている。試合結果は重要じゃないとさえ思う。とにかく出場することに意味があるんだ。

例えば放射能の問題で、海外での日本に対する風評被害はひどいものになっている。海外の友人からも、放射能を心配するメールをもらうが、福島のみならず、東京やその他の地域も完全に放射能に汚染されたと思っているようだ。そうした海外での評価に対して、日本代表がコパ・アメリカに出場することは、日本の現状を正しく伝える大きなチャンスでもある。

今年の活動は、どれもいつもとは違う意味を持つ。日本代表に限らず、日常的な消費活動、生産活動も含め、常に「日本の復興」にとってどうか、という意味合いがついてまわると思っている。大変だけど、それほどの災害に見舞われてしまったんだよ。

だから、「欧州組が揃うなら」という条件付きで協力するとしたJリーグの姿勢は、個人的には解せないね。さらに言えば、すべてのチームが反対しているわけではないのに、Jリーグクラブの総意としてそのようになっているのも納得がいかない。Jリーグという看板に隠れた姑息なやり方に見える。

クラブごとに社長が記者会見を開いて、「ウチは賛成だから選手を出します」「ウチは出しません」とでもやればいい。その姿勢に対して、評価を下すのは社会だよ。

Jリーグの親会社には、輸出を柱としている企業も多くある。その利益の一部でクラブが運営されていることを忘れてはいけないよ。原発事故の評価が「レベル7」に引き上げられ、メイドインジャパンに対する目が厳しさを増している今、日本代表が海外で発するメッセージは自分たちにも返ってくるんだ。

復興の一助に、という気持ちでエース級の選手を貸し出したら、その所属チームの成績は下位に低迷してしまうかもしれない。一方、招集を固辞すれば、上位に進出できるかもしれない。そこで、サポーターはどちらを支持するかな。

Jリーグは、ただの興業ではないんだ。興業以外にも存在意義がある。誰の、何のためのJリーグか。チェアマンや各クラブの社長には、自分たちの立場をもう一度考えてもらいたいね。(了)