何を隠そう、僕にはUFOをかなり近距離で見た経験がある。97年11月15日。場所はシンガポール上空。これまで学んだ知識、常識では一切理解不能な物体が、僕の乗る飛行機に急接近。それを少々ゆとりがあるビジネスクラスの窓から目撃したわけだ。なぜ日にちを正確に覚えているかと言えば、ジョホールバルの一戦の、前の夜の出来事だったからだ。隣に座っていた某ライターも一緒に目撃しているので、証人付きの話になる。

ホラを吹いているわけではない。ただ、思ったほど興奮しなかったことは事実。広い宇宙、何がいるか分からないとおおらかな気持ちになれた記憶がある。衝撃度という点では、ジョホールバルの勝利といい勝負だった。

UFOに勝る体験をしたのは、それから13年後。南アで見た本田のポジショニングだ。これについては現在iPhone/iPadアプリで発売されている『日本サッカー現場検証 あの0トップを読み解く』(実業之日本社)でもたっぷり触れている(何度も宣伝するようで申し訳ありません)が、彼が初戦のカメルーン戦に、センターフォワードというか、0トップのポジションで出場する姿を目の当たりにした瞬間こそ、僕のこれまでの人生における一番の不思議体験になる。UFO体験の比ではない。

「もしもし、岡田サン」

僕には岡田サンこそが、理解不能な人物という意味での宇宙人に見えた。直近で僕を最も驚かせてくれたカズも、岡田サンには痛い目にあっている。98年フランス大会の最終メンバーから外された過去がある。

その岡田サンも、例のチャリティマッチの現場にいた。募金箱の前で小倉隆史と並んで立っていた。小倉は、カズを外した理由を岡田サンに訊ねて、痛い目にあった経験を持つ。それももはや昔話なのか。岡田サンにはカズのゴールがどう映っただろう。岡田サンに、相変わらず不思議さを覚えるのは僕だけだろうか。

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