――主要なキャスト以外にも気になる役はありましたか?

田原:副大統領とつるんでいる豪商(リチャード・ドレイファス)がいましたよね。彼なんかも堂々としていましたよね。この作品は全部が主役クラス。普通の作品はね、主役は豪華なんだけど、脇役はいかにも脇役って人がやるんだよ。この作品は脇役もみんな主役クラス。これは贅沢だよね。贅沢の限りを尽くした作品だよ。

――この作品で一番面白いと思った部分はどこでしょう。

田原:この作品は若い世代と引退した超老人世代の世代間戦争でもあるんですよね。そして、やられる側にも、やる側にも、ヒューマニズムとか正義感とか全くないのが面白い。ブルース達を追う若いCIAのクーパーは、正義でも何でもないよね。彼も偉くなりたいんだろうけど、上から言われてやっているだけ。従来の作品と違って「勧善懲悪」「正義のためにやる」とかないよね。普通こういうアクション作品というものは「正義のために悪をやっつける」とかね、それか逆に「悪にやられる悲劇」とかなんだけど、「正義」ってこの中に全く出てこない。正義が全く出てこないアクション・サスペンスは珍しいんじゃないかな。パーカーとブルースの純愛があるから、なんとなくクーパーが敵だと思えて、ブルースに加担しちゃうんだけど、考えてみると今、クーパーがやっていることをかつてブルース達もみんなやっていたわけだ。ブルースはかつてのクーパーなんですよ。彼らは正義でも何でもない、元々殺し屋なんだからね。昔の殺し屋が今の殺し屋に追っかけられているところがとても面白いね。

――今回の作品は“オヤジ”達が活躍する作品ですが、田原さん自身は「若い者に負けんぞ」と思っていることはありますか?

田原:僕はね「若い者に負ける」と言う意識を持ったことがないの。僕は、才能をほとんど持って無いと思っているんだけど、唯一あるのが好奇心。好奇心の強さでは若い連中に全く負けないと思っている。好奇心の強さは、老人だから若者だからということが無いと思う。

――最後に、これから観る皆さんに一言この作品の魅力をお願いします。

田原:とにかく徹底的にエンタテインメント。エンタテインメントの極致だと思うよ、この作品は。エンタテインメントにならないものは全部省いている。退屈な部分や面倒くさい部分は何もないんだよ。また、この作品のキーワードは「クレイジー」だと思います。そして、とにかくこんなに全く正義がない作品というのは面白い。やっぱり正しいものが世の中では勝つんだというのがない。古い悪が新しい悪に勝という話。こういう作品はないと思う。そこが魅力だな。

 日本屈指のジャーナリスト田原総一朗も唸らせる『RED/レッド』。これでもかと言わんばかりの大掛かりなアクション、そして、予想を上回る設定や展開に目を奪われそうだ。

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