実際に起きたいくつかの猟奇殺人事件をモチーフとしてつくられた『冷たい熱帯魚』は、この世が“死”と“暴力”に満ち溢れていることを描いた問題作である。この強烈な作品に出演している黒沢あすか、神楽坂恵、梶原ひかりの3人の女優達は、どんな思いを持ってそれぞれの役柄を演じたのだろうか。リレー形式で質問に答えてもらうインタビューの第2回目は、若さ溢れる梶原ひかりだ。

――今作での役柄について教えてください。

梶原ひかり(以下、梶原):美津子ちゃんという役は、両親が離婚してしまって、新しいお母さんが来て、すごく戸惑って不安を抱いていて、周りに反抗しながらも、自分の居場所を探している愛に飢えた女の子です。

――台本を初めて読んだ時、どう思われましたか?

梶原:初めての印象はとにかく開いた口が塞がらないというか、衝撃をだいぶ受けて…。監督の映画は「愛のむき出し」を観たので、なんとなくこういう風になるんだろうなということがというのがあったんですけど、初めて台本を読んだ時、その度を超えていて、とにかく鳥肌が立ってしまっていて、この世界に入るんだと思うと戸惑いだったりドキドキだったり、ぐちゃぐちゃな気持ちになりましたね。

――この作品に関わろうと思ったきっかけを教えてください。

梶原:私はオーディションだったので、選ばれる側だったんですよ。本当に出られて良かったと思います。作品の内容とか役柄は、全然聞いてなくて、監督と面接みたいな感じで、ちょっと…いや、だいぶ雑談をして(笑)、そして、ちょっと台本を読むといった、普通のオーディションとは真逆のやり方でした。監督とお話してすごく初対面から丸裸にされて、すごいプレイベートとかもいっぱい聞いてくるんですね(笑)。それに答えて「台本ちょっと読もうか」となって読んで、「また連絡します」みたいな感じで終わって、一週間経ってもまだ来なくて「これは落ちたんじゃないか」と思ったんですけど、2週間くらいで「受かりました」という連絡をもらって「良し、やったぞ!」と思っていたら…こういう台本が届いて「おぉ?」って思って(笑)。でも、映画に出られて嬉しかったです。

――プライベートのどんなことを聞かれたのですか?

梶原:最初に聞かれたことは「お前彼氏いるのか?」と言うことで「いないです!」という感じで(笑)。「じゃ、お前今まで何人くらいと付き合った?」と言われて、ちょっと2、3人とかですか、「どういう人?」とかすごい初対面からずばずば直球で質問を投げかけてきてくれますね。

――すごい監督ですね。実際に撮影に入ってからは監督の印象が変わったりしましたか?

梶原:リハーサルの時点で、監督がすごく愛情たっぷりに私にいろいろ教えてくださっていたので、撮影前後で印象は変わっていないです。ですけど、やっぱり厳しくもあり、やさしくもあり、本当にお父さんみたいな監督で、私がもっと良い演技ができるようにアドバイスしださったり批判してくださったり、バネになるような言葉をかけてくださるんです。