韓国の李明博大統領は27日、定例ラジオ演説で「戦争を恐れては戦争を防げない」と述べ、北朝鮮に対し強力な軍事的対応を行う考えを示した。北朝鮮をけん制し発言したものだが、韓国野党の民主党からは「北朝鮮の平壌放送かと思った」などと揶揄する声があがった。

大統領は演説で「戦争を恐れては戦争を防げない。攻撃を受けたら、軍はすぐに対応しなければならない」「北朝鮮の戦争犯罪に我慢してきたが、北朝鮮は挑発を行った」「武力挑発に対する強力な対応だけが戦争を抑制し、平和を守るという事実がはっきりとした」と訴えた。

これに対し、民主党のチャ・ヨン報道官は「これはもしかしたら平壌放送ではないのかと思いびっくりした」「国民は戦争を怒れない大統領は望まない。戦争を通じた勝利ではなく、戦争をしなくても勝利できる大統領を望む」と述べた。

韓国ネットユーザーたちからは「『戦争をしなくても勝利できる大統領を望む』というのは正解」「戦争を煽動(せんどう)する平壌放送と大して変わらない」」「牛や豚を殺すように人間も殺すのは誰でしょう。北は金正日だが南は…?」「ケンカをしないのが一番なのに、李明博はいつ分かるのだ」など李大統領を批判するコメントが集まったほか、「野党は反対の意見だけ言っていればいいのか?ちゃんとした野党になってほしいのだが」「野党は格好良いことだけ言うね」「李大統領の演説に心から賛成〜〜」など野党を批判するコメントもあった。

2010年の韓国は、3月に海軍哨戒艦「天安」沈没事件が発生し、11月には延坪島砲撃事件が起きるなど、北朝鮮による無差別攻撃が続いた。北朝鮮に強い姿勢を示す李大統領だが、国内世論との微妙な舵取りは来年も続きそうだ。


参照:大統領ラジオ演説「国民的団結必要」 - YTN
参照:民主、MBラジオ演説に「平壌放送ではないかとビックリした」 - 京郷新聞

(文:林由美)

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