ワールドカップ3次予選が、いよいよ始まる――。

 岡田監督就任後、初めてチームに合流した中村俊輔は、「キリンカップはワンプレー、ワンプレーを大事に、チームとしての形を意識してプレーした。でも、明日の結果が悪いと意味がない」と結果にこだわる姿勢を見せた。遠藤保仁も「ミドル(シュート)とかでも相手に当たって入ることもある。シュートの意識を持つことが大事になる」とゴールへの高い意識が重要だと話している。

 さらに先発での出場が予想される長谷部誠は「相手が引いてくることも考えられる。深い位置から個人で突破するのではなくて、ボールを繋ぐところは繋いで、組織で崩しイメージも大事」と語った。そして「連動性というものが大事になってくる」と話したのは今野泰幸。敗れたバーレーン戦を振り返り、鈴木啓太は「ゲームの入り方が重要になってくる」と選手達は、来る試合に向けそれぞれの狙い語っていた。

 6月1日も非公開練習だったため、正確なスターティングメンバーはわからないが、選手たちのコメントを聞く限り以下のような形になりそうだ。

 GK:楢崎正剛
 DF:長友佑都、田中マルクス闘莉王、中澤佑ニ、駒野友一
 MF:遠藤保仁、長谷部誠、松井大輔、大久保嘉人、中村俊輔
 FW:玉田誠

 1トップとして出場する玉田は「僕は1トップという風にはあまり考えていない。もちろん中央でボールを受けることも重要だけど、僕が動いたあとのスペースへ誰かが入ってくればいい」と、4−5−1のワントップという意識より、状況によって流動的になると話した。ただ中盤でのボールが回しはスムーズだったが、なかなか縦パスが入らなかったパラグアイ戦。その反省を踏まえ前線への動き出しで、攻撃が活性化されることに期待したい。

 さらにコートジボアール戦では、ボールを奪ってから攻撃への速い仕掛けという点で物足りなさが残った。「できるだけ早い攻撃をしたいが、ボールを奪ったあと、前線に人数をかけられないこともある。そういう時はサイドに展開できれば」と遠藤は状況に応じて対応していく考えを述べた。

 キリンカップ後、誰もが守備への手ごたえを口にしている。一方で課題は攻撃の精度を上げることだということも認識している。そして「自分たちのサッカーをすることが大事だ」とも繰り返しているおり、「岡田監督のコンセプトは浸透している」とも話している。

 気がかりなのは、監督のコンセプトどおりのサッカーで状況が打開できないとき。辛抱強く、指揮官のサッカーを続けることも「手」ではあるだろうが、最終的には選手個々のアイディアや強引なプレーなど、選手自身の“力”が、得点へと結びつけるはずだ。

 「監督どうのこうのじゃなくて、結局プレーするのは選手。責任があるし、やることをこなして結果を出すのも選手」

 5月31日の練習後、中村俊は、所属するセルティックのゴードン・ストラカン監督の言葉を口にした。もちろん監督の役割も重要なのは間違いない。それでも結局プレーするのは選手達。岡田監督が“俺流”を宣言してから、わずかな時間で挑む重要な一戦。それだけに試されるのは、監督ではなく、選手自身なのかもしれない。