「何よりまず失点するな」とは、伊サッカーの鉄則だが、鉄則を守った者がつねに栄光を手にできるとはかぎらない。

 セリエAが全国統一リーグになった1929年以降75シーズンが戦われてきたが、そのうち最少失点チームが優勝したのは4割をわずかに越える32回にすぎない。
 歴代最少失点(率)を誇るのは、1969-70年のカリアリである。30試合でわずか11失点、失点率は0.36。このときはもちろん優勝しているが、歴代2位の1968-69年のミラン(12失点/30試合/0.40)は優勝できていない。

 勝点3制度が導入された94年以降、昨季まで優勝した13チーム中、最少失点守備陣を抱えながら優勝できたのは6チーム(ユベントス5、ミラン1)のみだ。2003-04年のローマは、34試合で19失点という近年まれに見る好成績を残したにもかかわらずスクデットを逃した。優勝するためには、やはり守備だけでは不十分なのだ。