波乱が止まらない。全米女子オープンは初日に引き続き2日目も雷雲接近による中断。しかも2度に渡る中断後、2時間以上の待機の末に明日への持ち越しが決定。関係者はみな「まいったなあ」「最悪の展開」と愚痴ばかりこぼしているのが現状だが、一番辛いのは早朝から日暮れまで変則スケジュールとブツギレのラウンドを余儀なくされる選手たちだ。
大山志保もその一人。初日はラウンド中に4時間近い中断を味わい、なんとか13ホールを回ったところで日没サスペンデッド。今日2日目は早朝から残り5ホールを消化し、小1時間の休憩をはさんで第2ラウンドをスタート。しかし、13番終了後に29分間の中断。再開後、14番からプレーを開始したものの、17番のグリーンに乗せたところでまたまた中断。2時間以上待った末に翌日へ持ち越し……「あと2ホールだから、いけると思ったのに……」。
しかし、「あー、もう最悪!」なんて言葉を吐かないところが大山なのだろう。中断中も終始明るい笑顔を見せ、ギャラリーの子供たちと遊んだり、バナナを食べたり。今朝の第1ラウンドの残り5ホールで3バーディを奪い、一気に2位タイへ浮上した大山は、第2ラウンドでも実に落ち着いたプレーぶりだった。
大会初出場なのに、どうしてそこまで落ち着いていられるのか。その答えはおそらく大山のこんな言葉の中に隠されているのだと思う。「リーダーボードに名前が載るのはうれしい。でも、アメリカでも日本と同じように戦いたいと思って来たし、日本と同じように戦っている」。要は、世界の舞台、メジャーの舞台において、どこまで平常心が保てるかということ。前日はフェアウエイキープ率92.9%を誇ったが、今日の第2ラウンドではドライバーがときおり右に曲がり、深いラフにつかまった。キャディは8番アイアンぐらいで打つことを勧めたそうだが、大山はあえてアプローチウエッジを起用。もっと遠くまで出せるのに、なぜ?「私は(残り距離が)80ヤード、90ヤードが得意なので。うまくいきました」
状況に応じた的確な判断ができるかどうか。そこには平常心が求められるけれど、それじゃあ、どうしたら平常心が保てるかといえば、それは経験と自信だろう。日本の賞金女王に輝くまでの道程で大山が積んできた経験。女王になって得た自信。そして「いつもと同じようにやればいい」と自らに言い聞かせ、それが実行できる心の強さ、広さだ。
とはいえ、大山も1人の人間。練習日だった火曜日の夜には金縛りに遭い、水曜日の夜には「大勢のプレーヤーたちにボコボコにされ、家で酸素マスクまで外され、ダメだと思って死んだ瞬間、目が覚めた」なんて悪夢にうなされたという。プレッシャーもあるだろう。女王としてのプライドや意地もあるだろう。でも、それを表に出さない大山。
笑う角には福来たる――苦しいときほど笑え。笑顔を絶やさない大山の強さが、必ずや明日以降のゴルフに反映されると信じたい。(舩越園子/在米ゴルフジャーナリスト)
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