[画像] 新宿DASH 〜新宿ミツバチ大救出SP〜

大都会・新宿の屋上、DASHのベース基地。気温が低くなり、秋も深まる中、遡ること4か月前の7月中旬。
ハート池のメンテナンスをしていた際、大事件発生！「ハチが暴れてます！」
巣箱周辺にはミツバチが飛び回り、さらに巣箱の下には死んでしまった新宿ミツバチたちの姿が…。
この新宿ミツバチたちは、5年がかりで屋上にやって来てくれた、在来種・ニホンミツバチ。
社会性昆虫とも呼ばれ、真っ黒で巨大な女王バチと黄色いシマシマの働きバチが、産卵・育児・ミツ集め、巣作りに警備など、分業制で働くことでその一家を繁栄させる。

この屋上には、そんな一家が暖簾分けして2つあるのだが、前回の観察時、2代目女王バチ一家の働きバチの体が…
太一「なんか黒いよね」
その原因、ミツバチの専門家・藤原愛弓さんによると、「もしかしたら女王がいないかもしれない」
女王バチが突然死した際に起こることが多いという、働きバチの女王バチ化。
真っ黒になり、一家を守ろうとする本能で、卵を産む。
とはいえ、この卵は無精卵で働きバチになることはないため、このままでは全滅してしまう…。

太一「けどこれ、前回とまた違う現象起きてないかな？2種類いるように見える。黄色と黒だよね？」
女王バチ化した働きバチはおろか、通常時よりも黄色いハチがいる。
藤原さん「黄色いのはセイヨウミツバチ。巣の中のミツを盗みに来ている。」
セイヨウミツバチは、ヨーロッパやアフリカなど乾燥した地域のミツバチを、人間が改良した品種。
少ない花でも集団で押し寄せ、ハチミツを作る性質があるため、都市養蜂のほとんどがセイヨウミツバチ。

しかし、夏は花が少ない時期でミツを集めるのが困難。加えて、今年の夏は記録的な猛暑。
ただでさえ少ない花が枯れてしまう現象も。
さらに運悪く、女王バチがいない事で働きバチが減ってしまい警備が手薄だったところに、セイヨウミツバチが大群でやって来てしまい、盗蜂にあってしまった。
巣箱の中は、そんなセイヨウミツバチだらけ。「ほとんどニホンミツバチはいない」

この状況を見て、藤原さん「この巣自体を救うのは難しい」
一方、もう一つの初代女王バチの巣箱は、まだ警備が硬く、セイヨウミツバチの侵入を許していない。
しかし、こちらもセイヨウミツバチの大群に気づかれ突破を許せば占領されてしまう恐れが。
全滅の危機にさらされた新宿ミツバチを救うには…
藤原さん「ミツが溜まっている巣を減らす」
すでに壊滅状態の巣箱から、原因となっている巣を撤去。

ミツバチは、ミツを集められる場所を見つけると、優れた情報伝達能力で仲間を呼び寄せる。
そのため、巣箱を丸ごと撤去してしまうと、遅れてやって来たハチが探し回り、逆に初代女王バチ一家に気づいてしまう。一度に全て撤去するのではなく、ハチミツを少しだけ残しておく。
つまり、セイヨウミツバチに備わる合理性を逆手にとり、「"これでおしまい"と思わせる」
上手くいくかは、このセイヨウミツバチの群れ次第。
果たして、大侵略を防ぎ、5年がかりの新宿ミツバチを守る事はできるのか！？

8月下旬。初代女王バチの巣箱には、セイヨウミツバチの姿はなくなっていたが、屋上に棲んでいたニホンミツバチたちもいなくなってしまった…。
太一「ショックだね…。でもしょうがない。残った一つを大事に育てていく。でもハチの寿命がどのくらいか」
と、太一が言う群れの初代女王バチは、2年半前、新宿の屋上にやってきてくれた最初の女王バチ。
女王バチの寿命は、長くて3年とも言われ、残り半年、いつその命が尽きてしまってもおかしくない。

「初代女王バチの血筋を繋いで行きたい」という太一。つまり、新女王バチを作って、群れを2つにしたい。
そもそも新女王バチが生まれ、群れが2つになるのは春がメインだが、現存する日本最古の養蜂一家の藤原さんには、脈々と受け継がれてきた、人工的に女王バチを作る養蜂技術があるという。
そんな女王バチを作るのに必要なのが、『蝋椀棒(ろうわんぼう)』。
「この棒の先に蝋をつけて王台を作る」つまり、新女王バチが育つロイヤルルームを人の手で作るという事。

人間とミツバチの出会いは、8000年以上前とも言われ、自然の巣から、神秘の恵み・ハチミツをとってきた。
やがて、薬用効果やミツロウの実用性が認められると、養蜂が広まり様々な技術が発展。
その一つが、人工的に女王バチを作ること。
そのやり方は、まずミツロウを湯煎で溶かし、蝋椀棒(ろうわんぼう)の先につけて冷ます。
この工程を何度も繰り返し、固まったら取り外す。これが新女王の育つ部屋になるという。
おそらく、これを作ったのは芸能人初ということで、記念のサインも。

大きさを整え、安定して巣箱に取り付けるための土台に接着し、王台の準備は整った。
その中に入れるのは、約2mmの働きバチの幼虫。というのも働きバチも、女王バチも卵は同じ。
その別れ目は、幼虫の頃、ロイヤルルームで手厚く育てられるかどうか。
まず王台の中に入れるのは、ミツバチが花粉などを原料につくる栄養の塊ローヤルゼリー。
巨大な女王バチになるには欠かせない。そしてここに、わずか2mmの幼虫を入れる。

幼虫とローヤルゼリーを入れた王台を、巣箱用の木の枠に取り付け。
女王バチに相応しい、健康な個体を選抜するため、候補生達は上下8匹ずつ。
この後、幼虫が育ち、サナギになれば、初代女王バチ一家がお引越し。群れが再び2つになる。
しかし…「越えないといけない壁がいくつもある」
これだけ手を尽くしても、結局はミツバチ次第。
引っ越したくなければ、巣を壊すばかりか、女王バチが女王バチ候補生たちを殺してしまうことも。

そのため、初代女王バチが、女王バチ候補生達を殺してしまわないように捕まえ、女王バチ候補生達が育つまでの間、カゴの中に入れてじっとしておいて頂く。
このカゴは、女王バチは出られないが、働きバチは出入りが可能で、初代女王バチを、なるべく働きバチと隔てることで「女王バチがいなくなった」と異変を感じ、新女王バチを育てる機運が高まるという。
ここからは、働きバチが女王バチ候補生達を育ててくれるか？小まめなチェックが必要となる。

2日後。太一と共に屋上のミツバチを見守ってきたスタッフ筒井とミツバチの専門家・藤原さんでチェック。
うまくいっていれば、人間が与えたローヤルゼリーをキッカケに働きバチも女王バチ候補生と認識し、育て始めるというが…
「いやー、ちょっとないかも」「引っ越したくないんですかね」
働きバチの心替わりを信じ、再び幼虫をロイヤルルームに戻す。
さらに2日後もチェックするが、幼虫はおらず…。「なかなかこの時期はうまくいかない」
9月は、お引越しに難敵の雨が多かった上、グッと気温が下がったことで、集団で寄り添い、体を温め合うミツバチにとっては、群れを分けるのがリスクに。

ただし、寿命間もない女王バチがいる群れでは、新たな女王バチを育てる傾向が強いという。
カゴの中には、元気そうな女王バチの姿も。しかし、女王バチの仕事・産卵ができず、一家の繁栄に支障が。
ミツバチの専門家・藤原さん「試せるとしたら今女王バチを閉じ込めた状態だとあと1回。」
ならば、王台から全て新調し、ラストチャンス。
プロでも難しい悪条件の中、女王バチ育成を成功させ、5年がかりの新宿ミツバチを繋ぐことはできるのか？

9月下旬。太一、松田で巣箱を開けてもミツバチが外に出てこない夜を狙ってチェック。
初代女王バチの寿命は長くとも、残り半年。なんとか新女王バチを育てていて欲しい。
1匹でも育ててくれていれば、5年がかりの新宿ミツバチは繋がっていく。
最後の奇跡にかけるが…松田「いないですね…」太一「女王バチ誕生ならず。うわ〜ショックだな…」
しかし、ここで立ち止まっている訳にはいかない。「初代女王バチに頑張ってもらう」

お引越しの最盛期は春。初代女王バチの命、それまで持つかはわからないが、この冬を乗り越えてもらうための準備に取り掛かっていた。
1年前、ミツバチ小屋の目の前で種から育て、根張りを良くするために麦踏みを行った、太一の地元、東京・東久留米に江戸時代から残る柳久保小麦。
その特徴は、130�僂砲發覆詛愍罎旅發機�かつては茅葺き屋根の材料としても重宝されたこの麦わらで、「ハチを守るために防寒対策」

ミツバチの冬支度を任されたのは、去年も経験済みの松田。だが、その結び方、思い出せず…。
手を動かし、なんとか思い出し、麦わらを縛っていく。
一方、太一は体に染み込んだ技で、小麦とそのカスを選別。選別するワケは後々。
松田が縛った麦わらを、巣箱を囲むように設置。わらは英語でストロー。その名の通り中が空洞になっていて、暖かい空気を溜める性質が。「これで冬を乗り切ってもらって」「もう祈るだけ」

そして、先ほど選別した柳久保小麦を手に、「なんか作る？どうせならミツバチに縁起の良いもの」と太一。
香りがいいことから、うどんやラーメン、スイーツなど幅広く利用される柳久保小麦。
小麦に、塩、砂糖、ベーキングパウダーを混ぜ、豆乳と油を加えて作る「将来の見通しが良くなる縁起物」
とは、ドーナツ！
大行列の専門店も増え、現在第5次ブームと言われ、将来の見通しが良くなると、受験生にも大人気！
ならば、新宿ミツバチもあやかりたい！

そこで、それぞれが思うドーナツづくりを。
松田は、20年前の第2次ドーナツブームの火付け役。ポルトガル語でパンを表す「ポン」がリングになったあのドーナツを。
松島は、まるで腕組みするような見た目から、名付けられたというドイツ発祥のパン「プレッツェル」をイメージして作るも、その複雑な形に手を焼き、出来たのが「ぬ」の形に。
そして太一は、数字の8の形に。それぞれ形ができたら、油で揚げていく。

キツネ色に揚がったら、そこにかけるのが、2代目ミツバチの群れが残してくれたハチミツ。
1匹の働きバチが一生かけ集めるハチミツの量は約5グラム。そんな働きの結晶を、ドーナツにたっぷりとかけてコーティング。
冷やして固まるのを待つ間にドーナツのお供を！

それは、松島が5か月かけて育てた大好物のショウガを使ったあの飲み物。
ショウガを水から煮出したエキスに、香りがいい早どりのグリーンレモンの生搾りを加え、そこに炭酸を加えて…「ジンジャエールの完成です」

ドーナツにかけたハチミツも固まり、準備が整った所で藤原さんも合流し、皆で一緒に！
まずは藤原さんも大好きだというジンジャーエールから。「美味しい！ショウガの香りすごい」
そして、新宿ミツバチの見通しのいい将来を願い、ドーナツを頂く。
太一「うまい！これはやばいね！甘さがちょうどいい」松田「今まで一番美味しいドーナツ」
初代女王ミツバチ、皆の想いが届き、冬を越してくれるか？