2024年11月にリニューアルしたイケアのモーニングセットはなんと100円〜(筆者撮影)
喫茶店やレストランが、朝の時間帯にドリンクやトーストなどのメニューを割安価格で提供するモーニングサービス。チェーン店の外食モーニングをこよなく愛するライター・ブロガー、大木奈ハル子さんの連載第101回は、「IKEA(以下、イケア)」をご紹介します。
飲食チェーンがひそかにしのぎを削っているジャンル、それが「モーニング」です。集客の弱い時間帯である午前中の売り上げを強化すべく、朝の数時間だけ提供される限定メニューは、コスパ抜群かつ店の特色が強く表れ、どれも魅力にあふれています。
今回ご紹介するのはスウェーデン発の家具・インテリア雑貨チェーン「イケア」の朝メニューです。
今月(2024年11月)モーニングメニューを一新、税込100円という激安かつ激アツの朝食プレートも登場しました。
当記事では、リニューアルされたメニューの全3種類に加え、よりお得に利用するための裏技も併せてご紹介します。
イケアのモーニング、実は大人気なんです
東洋経済オンラインにて「チェーン店最強のモーニングを探して」の連載を開始してからはや2年。前回で連載100回を迎えました。
そのおかげなのか「チェーン店のモーニングでオススメはありますか?」という質問を頻繁に受けます。
その際に「イケアのモーニングがお得ですよ」と伝えると、一様に「イケアにモーニングなんてあるの!?」と驚かれるのですが、イケアのモーニング、実は大人気なんです。
イケアは土日祝日限定でモーニングプレートを販売しています。提供時間は開店から1時間だけの朝10時から11時まで。いつ利用しても1時間行列が途切れることがないほどの盛況ぶりです。
モーニング目当てというよりは、「せっかくイケアに行くんだし、早めに出て、ついでにモーニングも食べようか」という人が多いようです。つまりは、出発時間を前倒しする効果絶大な、知る人ぞ知るイケアの目玉商品です。
モーニングセットは100円から、一番高いものでも600円というお値打ち価格です(筆者撮影)
メニューは税込100円・300円・600円の3種類。モーニングBセット・Cセットの選べるサイドメニューは、ハッシュドポテト、フライドチキン、ベジタブルメダリオン、プレーンソーセージの4品です。
・モーニングAセット(シナモンロールとハッシュドポテトのセット) 税込100円
・モーニングBセット(シナモンロール、ゆで卵、サイドメニュー1品のセット) 税込300円
・モーニングCセット(クロワッサン、ゆで卵、サラダ、サイドメニュー2品のセット) 税込600円
※ほとんどのお店で取り扱いがありますが、都市型店舗など一部では販売していないようです。
実はドリンクバーが無料! 珍しい味のジュースも飲める
お気付きでしょうか? 実はこちらのモーニングセット、いずれもドリンクがついていません。飲み物が欲しい場合は税込190円のドリンクバーを別で注文する必要があります。
ドリンクバーは190円。しかし、イケアの会員になることで無料になります(筆者撮影)
しかし、このドリンクバーが無料になる裏技があるのです。それはイケアの会員(IKEA FamilyもしくはIKEA for Business)になること。
どちらも年会費・入会費無料なうえに、朝10時から11時までの1時間はドリンクバーが無料サービスなんです。
つまりはモーニングAセットとドリンクバーを注文しても、イケア会員であればレジで支払うのは100円ポッキリということ。500円以内の商品をワンコインなんて表現することがありますが、イケアの場合は100円玉で事足ります。
ドリンクバーの種類も豊富。日本では珍しい味のドリンクもあるんです(筆者撮影)
しかもドリンクバーの種類も豊富です。
1杯ずつ抽出してくれるタイプのコーヒーメーカーはカフェラテやカプチーノも選べますし、ジュースサーバーには、コーラやオレンジジュースだけでなく、日本ではあまり馴染みのないリンゴンベリー(コケモモ)のソーダなんてのもあります。
イケアモーニングの目玉メニューはシナモンロールとハッシュドポテトで100円
イケアのモーニングAセットは、シナモンロールとハッシュドポテトがセットになって税込100円です。単品販売価格だとシナモンロールだけでも税込100円、ハッシュドポテトが税込120円。割引率は約54%オフです。
イケアモーニングAセットは、シナモンロールとハッシュドポテトのセットが100円(筆者撮影)
イケアでは黄色のプライスタグのついた商品が「そのカテゴリーで一番安い」目玉商品とされています。ちなみに、シナモンロールもハッシュドポテトも、どちらも黄色のプライスタグメニューです。
お得な価格設定の2品が半額以下というのは、さらにお得感を際立てます。この時点でめちゃくちゃ安いのに、イケア会員になり、さらに税込190円のドリンクバーを無料で飲んだ場合は、脅威の約75%オフ……。
シナモンロールの断面。みっしりとキメの細かい生地と、ねっちり甘いシナモンフィリングは相性抜群です(筆者撮影)
普通に買ったら税込410円するものが、100円玉1枚で飲み食いできるなんて、ありがたさを通り越して申し訳なさすら感じるほどの安さです。
あまりの安さに、値段ばかり訴求しましたが、味も安かろう悪かろうではありません。
シナモンロールは、イケアが2006年に日本に上陸してから20年近くずっと、ベストセラーアイテムとして人気を維持し続けています。みっしりと詰まったもっちり硬めの生地に、シナモンフィリングが挟まれています。小さめサイズながら食べ応えもなかなかのもの。
香りはシナモンにカルダモンも入った、ガツンと来るスパイシーでウッディーな大人っぽい味付け。しかしながら、パン生地もフィリングもお砂糖たっぷりで、パールシュガーまでトッピングされているので、しっかり甘く仕上がっています。
スウェーデンで販売されているものと同じものを輸入して販売しているため、甘さ控えめで日本人向けにソフィスティケートされた味ではなく、本場の味が食べられるというのも、大きな魅力です。
ハッシュドポテトは、厚みは薄く、サイズは大きめのカリッと食感(筆者撮影)
ハッシュドポテトは平たくて薄っぺらくて大きめ。ホクホクポテトとカリカリ衣の裏切らないおいしさです。
魅力的なサイドメニューが選べるイケアのモーニングBセット300円
イケアのモーニングセット3種類の中で、断トツでお得なのはAセットで間違いないのですが、Bセット・Cセットも魅力では負けません。
イケアのモーニングBセットは、シナモンロール、ゆで卵、プレーンソーセージで300円(筆者撮影)
税込300円のモーニングBセットは、シナモンロール、ゆで卵に、4種類のサイドメニューから自分の好きな1品をセットできるというもの。
実はサイドメニューの単品価格はバラバラです。
・ハッシュドポテト 税込120円
・フライドチキン 税込220円
・ベジタブルメダリオン 税込190円
・プレーンソーセージ 税込190円
もちろん食べたいものを選べばよいのですが、お得に食べたいという場合は、ハッシュドポテトは避けたいところ。
みっしり詰まったソーセージフィリング、シンプルで肉の旨みたっぷりの北欧の味わい(筆者撮影)
今回はサイドメニューにプレーンソーセージを選びました。大きくて太いソーセージは食べ応え抜群。スーパーで売られている2袋セットのソーセージの3本から4本分ぐらいはありそうなビッグサイズです。
こちらも日本でお馴染みの味や食感とは若干違いました。塩気は強めで、こしょうが効いたシンプルな味付けです。粗挽きでもなく絹挽きでもないフィリングがみっしり詰まっており、肉々しいパンチのある味わいです。
ゆで卵は固ゆで(筆者撮影)
「日本でも寒さが厳しい東北地方では塩味が強い味付けが多いように、冬が長い北欧にも同じ傾向があるのかしら?」などと考えつついただきました。ちなみに、ゆで卵はハードボイルドでした。
豪華な見た目にグッと来るイケアのモーニングCセット600円
イケアのモーニングCセットは税込600円。
イケアのモーニングCセット。クロワッサン、ゆで卵、サラダ、フライドチキン、ベジタブルメダリオンで600円(筆者撮影)
クロワッサン、ゆで卵、サラダに、好きなサイドメニューを2品選べます。写真ではフライドチキンと、ベジタブルメダリオンを組み合わせました。
クロワッサンは空気をたっぷり含んでふわふわ(筆者撮影)
大きめサイズのクロワッサンは、空気たっぷりでふっくら。バターがリッチで生地を噛むほどに香りが広がります。
ほんのり甘いので、そのまま食べてもおいしい。皮のザクザク感と、しっとりした生地のコントラストが楽しい食感です。
フライドチキンは骨付きで、例えるならばサイズはファミチキで皮はモスチキンといった風(筆者撮影)
フライドチキンは、コンビニのレジ前のチキンのようなサイズ感と見た目ながら、実は骨付きでした。肉は薄めで衣が厚め、表面はクリスピーでカリッと軽く、中の鶏もも肉はしっとり。こしょうとスパイスが効いたピリリとした味付けです。
初めて食べる「ベジタブルメダリオン」
ハッシュドポテトもソーセージも、フライドチキンもイケア以外でも食べたことがあり、食べる前から味の予想はついていたのですが、唯一食べたことがなかったのが、ベジタブルメダリオンです。
「これはなんぞや?」と恐る恐る食べたところ、なんともほっこり優しいお味。
こってりクリームソースで野菜をまとめてこんがり焼いた、ベジタブルメダリオン(筆者撮影)
平たく言うと、じゃがいも、玉ねぎ、ブロッコリーのパン粉抜きクリームコロッケという感じ。
ホクホクのじゃがいもと、火が通って甘い玉ねぎ、細かく砕いたブロッコリーを、しっとりこってりとしたクリームソースで包んで、まわりに粉をはたいてコイン型に成形したものを、オーブンで焼いてあります。
クリームソースがしっとりかつこってり濃厚で、食べ応えもありました。
イケアはケチャップとマスタードもオリジナル。日本のものよりさっぱりして酸味が強め(筆者撮影)
サラダは、フリルレタスとミニトマトのみ。量も少なめで、どちらかというとお皿を鮮やかに見せるための彩り的な意味合いが強めなのかもしれません。
ドレッシングだけは、他社製の袋入りミニサイズのものが採用されていました(筆者撮影)
吸引力強めの目玉メニューに踊らされる朝
イケアは、現在では都心型店舗も散見されるようになってきましたが、まだまだ郊外の大型店舗が主力です。
まずはお店に来てもらわないと始まらない。そのため、税込100円のモーニングセットのほかにも、税込50円のアイスクリームや税込80円のベジドッグなど、俗にいう「客寄せ」となる、目玉商品の価格設定が破格です。
イケアの50円ソフトは小さめで子供でも食べ切れるちょうどよいサイズ(筆者撮影)
外食は子供が小さいと入りづらい店も多かったり、家族の人数が増えれば増えるほど金額が膨らむこともあり、イケアのレストランは、小さなお子さんがいる若いファミリーや、大家族には特に人気があるようです。
朝10時のイケアでは、セルフサービスの注文カウンターにはお父さんが並び、お母さんは席取りを兼ねて、子供たちと座って待つという光景が広がっています。
イケアの戦略にはまって「朝10時にモーニングを食べてから、店内でいろいろ見ていたら、夕方になっていた」とか、「100円のAセットだけ食べるはずが、雑貨やキッチン用品を1万円以上買ってしまった」なんてことになりそうですが、それも含めてテーマパークに遊びに行くような、ワクワクがイケアには詰まっているなと感じる朝です。
編集部注:本記事に登場するメニューの価格は、すべて取材時点のものです。昨今の円安、原材料高騰などの影響を受けて価格が改定されている可能性があります。また、店舗によってモーニングの値段・内容は異なる場合があります。
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(大木奈 ハル子 : ブロガー・ライター)