【ニューヨーク=小林泰裕】ロイター通信は14日、米国のトランプ次期大統領が、電気自動車(EV)向けの税制支援策の廃止を検討していると報じた。実際に廃止されれば、失速しつつある米国のEV販売にさらなる打撃となり、日本メーカーにも影響が及ぶ可能性がある。
報道によれば、トランプ氏は減税など自身が掲げる政策の財源確保のため、EVの税制支援策の廃止を検討しているという。新設する行政改革組織のトップを務めるEV大手テスラのイーロン・マスク氏も、廃止を支持しているとしている。
バイデン政権下で2022年に成立したインフレ抑制法に基づき、EVなどエコカーの購入者に最大7500ドル(約120万円)の税額控除が導入された。この支援策を追い風に米国では急速にEVの普及が進んだが、最近ではハイブリッド車(HV)に人気を奪われ、販売が減速している。
米国のEV市場でシェア(占有率)約5割を握るテスラも影響は避けられないとみられ、14日の米株式市場でテスラ株は6%下落した。ただ、マスク氏は今年7月、高いブランド力を持つテスラ車への影響は軽微だとの認識を示した。EV支援策の廃止はむしろ競合他社に対して大きな影響が出るため、テスラのシェア拡大につながるという。
トヨタ自動車やホンダなどの日本勢も米国でのEV販売強化に向けて工場などへの投資を進めているが、戦略の再考を迫られる可能性がある。