カナダのコンビニ大手「アリマンタシォン・クシュタール」から買収提案を受けているセブン&アイ・ホールディングスは11月13日午後、創業家側から提案を受け、非上場化を検討していることを明らかにした。
【検証】「アコギなことはできないですよ」上げ底疑惑が指摘されるセブンイレブンのお弁当
井阪社長が明かしたクシュタールの懸念
クシュタールから7兆円規模の買収提案を受けているセブン&アイHD。一方、同社の井阪隆一社長(67)は10月10日の決算説明会で、経営資源を主力のコンビニ事業に注力する一方、イトーヨーカ堂などのスーパー事業を中間持株会社「ヨーク・ホールディングス」に集約させ、社名も来年5月に「セブン-イレブン・コーポレーション」に変更する旨を発表した。
セブン&アイHDの井阪社長 ©時事通信社
井阪氏は「週刊文春」の取材に応じ、「流通業ってそれぞれの国と地域でそれぞれの価値をつくっていますので、本当にクシュタールさんがテイクオーバー(買収)した後に、そういうことの優先順位を考えてもらえるかということもすごく重要な要素だと思うんですね。地産地消とか色んなことをやってきましたから。そういったことまで本当にお考え頂けるかということが、一つ懸念にはありますよね」などと述べていた(《深層レポート》カナダ企業7兆円買収にコンビニ専業で対抗「セブン&アイの終わらない危機」)。
イトーヨーカ堂社長が言及した事実上のリストラ
井阪氏が新たに掲げた経営方針は、コンビニ事業に注力し、祖業でもあるスーパー事業などを切り離すというものだ。実際、イトーヨーカ堂は直近(2024年2月期)も259億円の最終赤字。これで4期連続の赤字決算となっていた。ただ、「井阪氏は創業家への配慮が強く、スーパー事業への構造改革に二の足を踏んでいた」(セブン関係者)という。
そうしたなか、創業者の伊藤雅俊氏が昨年3月、98歳で逝去。事態が一気に動き始める。約10カ月後の今年1月、イトーヨーカ堂の山本哲也社長(55)は店長級の社員らを対象にした会議の場で、事実上のリストラとも言える人員整理に言及していたのだった(【セブン巨額買収】イトーヨーカ堂社長のリストラ音声入手「アパレル閉鎖で社外での働き方を」)。
セブン社長は「アコギなことはできないですよ」
他方、力を注ぐとされるコンビニ事業は現状はどうなっているのか。2024年3〜8月期連結決算はコンビニ大手3社のローソン、ファミリーマートが前年同期比で増益となったのに対し、セブンは34.9%減の大幅減益だ。
近年、インターネット上では「セブンの弁当は“上げ底”ではないか」との疑惑も取り沙汰されてきた。この件について、セブン&アイHD専務でセブン-イレブン・ジャパン社長の永松文彦氏(67)は「週刊文春」の取材に対し、「そんな、アコギなことはできないんですよ」などと語っていた(セブン社長に「上げ底弁当」疑惑を直撃「そんなアコギなことはできない」「ネットに投稿する方は、事実をもって投稿してほしい」)。
2種類の上げ底疑惑弁当を徹底比較した結果は?
永松氏の発言を報じた記事は大きな反響を呼んだが、本当にセブン-イレブンの弁当は上げ底ではないのか。ライバルのファミリーマートやローソンの弁当と比べてどうなのか。「週刊文春」は、(1)唐揚げ弁当などで用いられる白米と総菜が並ぶお弁当箱タイプと、(2)総菜と米が上下別々の容器で入っている二重構造のどんぶりタイプについて、3社の弁当を徹底検証した(セブン、ローソン、ファミマ…3大コンビニの「上げ底弁当」を徹底検証! もっとも“上げ底度”が高かったコンビニは…?)。
果たして、日本を代表する小売企業セブン&アイHDの買収問題はどのような形で決着がつくのか。今後の展開が注目される。
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(「週刊文春」編集部/週刊文春 電子版オリジナル)