[11.10 J1第36節 浦和 3-0 広島 埼玉]

　猛攻の隙を突く一発で試合の流れを大きく変えた。浦和レッズMF松尾佑介は前半45分に先制ゴール。後半11分のFWブライアン・リンセンの2点目もアシストした。「最近チームは少しずつ良くなっていたが、個人的にとてもフラストレーションが溜まる試合が多かった。それがゴールやああいう形で爆発できたのでよかった」と手応えを語った。

　序盤からサンフレッチェ広島の猛攻を受けていたが、浦和はゴールを許さずに守備に奔走し続けた。少ないチャンスが結実したのは前半45分。自陣右サイドで守り切ってからボールをつなぎ、MF渡邊凌磨からパスを受けたMF関根貴大が右サイドから前線を見据えた。

「基本的に貴くんはとてもいいボールを僕に供給してくれるので、もう本当に信じていた」(松尾)。関根からボールが出る直前から松尾は逆サイドを疾走する。DF中野就斗にマークにつかれたが、「彼(中野)がちょっとコースを変えたので、あっち(ファー)に来るんじゃないかなという気持ちで」。中野が止め損なったボールがファーに流れたところを、松尾が収めてドリブル突破。PA手前から左足シュートを決め切った。

　前半を1-0で折り返すと、後半開始からも勢いを続ける。後半11分、右サイドの関根からパスを受けた松尾は縦に突破し、中野が後方から追いついたタイミングでカットイン。PA手前から右足シュートを放つと、ゴール前のリンセンが頭で軌道を逸らし、ゴールに流し込んだ。

　最前線で守備に走ったリンセンのゴールを、松尾は自分のこと以上に喜ぶ。「彼がチームに貢献している部分は非常に大きい。それがゴールという形で結果が出て、僕のゴールより正直うれしかった」。目にも留まらぬ高速連係技を「笑いながらあのシュートは誰も止められないと言っていた」と振り返る。「(リンセンは)枠に行くようにしっかり反応していた。本当に嗅覚がすばらしい」と称賛した。

　今節の勝利で浦和はJ1残留が確定。もっとも、浦和が目指すべき目標はもっと高くなければいけない。来季の高みを目指し、今季の残り時間も無駄にするつもりはない。「来年のことは来年。今年は最後までチームとしてなるべく勝ちを積み上げられるように戦っていきたい」。シーズン終盤で固まってきた戦い方を浸透させ、来季の躍進につなげていく。

(取材・文　石川祐介)