2024年11月9日、国立競技場でFC町田ゼルビアと対戦したFC東京は立ち上がりから苦戦を強いられていた。4-2-3-1システムでトップ下を担う荒木遼太郎が下田北斗のマンマークに苦しみ、それが原因でチーム全体の攻撃が停滞した。
「マンマークされた荒木をそのまま放置するのか」
記者席から見てそう思った。しかし、FC東京のピーター・クラモフスキー監督は動かなかった。例えば荒木をサイドに一旦移すなど、そういう指示もできたはずだが、静観に近い状態を保った。
結果、FC東京は町田のサッカーに呑み込まれて最終的に0-3と完敗を喫してしまう。
試合後、町田の黒田剛監督はこの日の戦略について次のように話した。
「荒木選手に縦横無尽に走り回られたり、ディエゴ(・オリヴェイラ)選手にロングボールを収められてしまうと厳しいので、そこはかなり注意深くやっていました。(3-1-4-2)システムの中で下田がしっかりと(荒木に)プレーさせないようにやってくれて、3バックの真ん中に入ったチャン・ミンギュはディエゴ選手が前を向けないようなディフェンスをしてくれました。そこが肝となる部分でしたね」
黒田監督の言うとおり、D・オリヴェイラと荒木を封じ込まれたFC東京は遠藤渓太の個人技以外でチャンスを作れず、その遠藤も「負けるべくして負けた」「ゴールの匂いが全然しなかった」と厳しい見解を示している。
今季のFC東京は試合中の軌道修正が上手くない印象だ。臨機応変さに欠け、悪い流れのままズルズルと行ってしまう傾向がある。良い時は良いのだが、悪い時は悪い。要は調子の波が激しいのだ。
タレントの質では明らかにFC東京のほうが上なのに、それでも町田に勝てない。結局、行き着くところはクラモフスキー監督の力不足。この日のダービーマッチは、黒田監督との力量差が如実に表われたゲームと言えるだろう。
取材・文●白鳥和洋(サッカーダイジェストTV編集長)
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