「被害総額が1000億円近くに上る可能性も」
リゾートクラブが会員からお金を預かり、その分の利息を支払うという詐欺商法が、ここ数年だけでも100億円ほどの被害を生んでいることが発覚した。著名人の威光を借りるのはこの手の詐欺師の常とう手段といえる。知名度を悪用された側の言い分とは……。
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会員制リゾートクラブ「ワールドビッグフォー(WB4)」による詐欺被害を訴える記者会見が9月6日、新潟県庁で開かれた。会員70人が計4億円の被害に遭ったとして、WB4の運営会社「ジャパンエアリゾートインターナショナル株式会社(JARI社)」(東京・文京区)を、新潟県警に刑事告訴する準備を進めていることが分かった。
代理人を務める代々木総合法律事務所の林治弁護士はこう語る。
「入手した内部資料によると、新潟県内だけで被害者は少なくとも約1600人、被害総額は100億円ほどに上るとみられます。また、JARI社の銀行口座の履歴を調べたところ、現状で確認できるここ数年間の分だけで100億円近くが、全国の被害者と思しき方々から入金されていた。過去にさかのぼった場合、被害総額は1000億円近くに上る可能性も十分に考えられます」
戦後最大級の詐欺事件?
仮に被害総額が1000億円だとすれば、戦後最大級の詐欺事件となる。
「WB4は実際に、フィリピンのセブ島で会員制リゾートクラブらしきものを手がけていました。その仕組みは会員から“預り金”を集め、特典として“リゾート利用券”を渡すというものでした。会員はこの券を使ってリゾート施設を無料で利用できますが、利用しなくてもいい。有効期限が切れた券はWB4が買い取り、現金でバックしてくれるからです。会員はバックのことを“利息”と呼んでおり、“預り金”の額に応じて年利4.8〜9.0%を受け取っていました」(林弁護士)
しかし、2020年3月から突然、コロナ禍を理由に“利息”が支払われなくなり、元本の“預り金”も戻らなくなった。
パーティーにビデオメッセージを
時に、巨大詐欺組織は著名人を利用することがある。
「組織のナンバー2は、代理店総統括理事の村松紀梨湖(のりこ)氏という女性でした。彼女は芸能関係者との人脈が豊富だったといわれています」(経済ジャーナリスト)
手元に一枚の招待状が残されている。村松氏が自身の闘病記『がんでは死なない』(幻冬舎メディアコンサルティング)を自費出版した際、開催された記念パーティーのものだ。
〈発起人〉の欄には、お笑いトリオ「森三中」の大島美幸(44)を筆頭に、その夫で元放送作家の鈴木おさむ氏(52)や女優の音無美紀子(74)、テレビリポーターの東海林のり子氏(90)、着物デザイナーの紫藤尚世(しとうひさよ)氏(77)などの著名人が並んでいる。
開催日は2018年5月20日。パーティーに参加した神奈川県在住の女性によれば、
「私は当時WB4を一緒にやっていた友人と参加しました。会員たちのつながりで招待されたんです。参加者のほとんどが会員で、地方から大きなバスで来ていた一行もいました。会場には音無さんや東海林さんもいらしていた。大島さんとテレビプロデューサーのテリー伊藤さん(74)は、がんを克服したという村松理事に、お祝いのビデオメッセージを送っていましたね。組織トップの行方(なめかた)栄治会長のスピーチもあり、パーティーはWB4の信用力を高めることが目的だったと思います」
「本当に人をだましていたのなら許せない」
村松氏と家族ぐるみの付き合いだったと言われている大島はどうなのか。夫の鈴木氏が電話とメールでこう回答した。
「妻は、お世話になっている紫藤先生から“がんの方を勇気づけたい”と言われたので、村松さんの出版記念パーティーにコメントを出したに過ぎません。パーティーには参加しておらず、発起人だと記されているのであれば、それは勝手にやられたことで、相手を訴えなくてはいけない。私たちはWB4の会員ではなく、WB4がそもそもどういう組織なのかも知りません」
もっとも、村松氏との付き合いについてはこう言う。
「村松さんは紫藤先生から2011〜12年ごろに紹介されました。その後、村松さんの娘さんがクッキーを何度か送ってくださった。それがきっかけで娘さんと連絡を取るようになり、ご家族の食事会に呼ばれて、村松さんの自宅に行きました。僕は1度、妻は2度ほど伺っていると思います。去年か一昨年、村松さんが亡くなった時、妻は葬式にも行きましたが、もし村松さんが本当に人をだましていたのなら許せません」
10月31日発売の「週刊新潮」では、大島・鈴木夫妻以外の著名人たちが語ったWB4との関係などと併せて詳しく報じている。
「週刊新潮」2024年11月7日号 掲載