─ ゲームにはそれだけの魅力があるということですか。

 内海 ゲーム産業とは面白いもので、技術の進化と一緒に進化していきます。半導体の能力が上がると描画能力も上がり、ネットが登場するとオンラインゲームという新しいジャンルとビジネスモデルができた。スマホが普及すると、ユーザーベースが一気に爆発し、あらゆるジャンルのゲームが世界の隅々まで浸透していきました。

 今後はAIが普及してきます。AIが広がれば、まずは生産性が大きく上がる可能性が高いことと同時に、AIの機能を使った新しい遊び方とビジネスモデルができてくると思います。そのときに、CGキャラクターに親しみを持つことに抵抗感の低い、AIに寛容かつ前向きな感性を持つ日本で作品を作ってみたら面白いのではないかと思います。最先端の技術に触れながらも、日本独自の文化的な要素も含むことによって、日本が世界の有力プレイヤーになれるかもしれないと思います。

 ─ 今後のセガが進む方向性を聞かせてください。

 内海 先ほども述べましたが、セガをグローバルブランドにすることです。今回我々が中期で掲げたミッションは〝Empower the Gamers〟です。セガはゲーム業界にロックンロールを持ち込んだような存在であると思っています。

 このようなコンテクストやファンの期待を背負い、素晴らしい作品を作ること、そしてそのIPを映画やアニメ、またマーチャンダイズなどを通じて展開していくこと、自分はそれを「トランスメディア」と呼んでいますが、ゲームが文化的地位を得た現在、このような展開がもっとグローバルで展開できるのではないかと思っているのです。世界を見ても、欧米は当然のこと、中国や東南アジア、中東、中南米にもセガのファンが大勢いることを、特にアフターコロナの昨今、強く実感しています。

 このような実感を持つことは、実は年を取ると難しいと思うのですが、自分は多くの海外出張を通じて感じることができているのだと思います。もしかすると自分の数少ない取り柄の一つが、海外に出ることが好きなことかもしれません。私自身、大学時代にバックパッカーを経験していました。新しいものを見ること聞くことで、クリエイティブ、ビジネスのいろいろなプラスの刺激を受けるんです。そういう感覚が好きなのですね。