[画像] 韓国、女性への兵科全面開放10年…限界はない(2)

海軍の戦闘兵科進出も着実に増加している。2003年に女性将校が初めて海軍戦闘艦に配置されたのに続き、2017年には初めて女性艦長が誕生した。現在韓国海軍では13人の女性軍人が海上指揮官の任務を遂行している。海軍第1艦隊司令部「金寿鉉(キム・スヒョン)」の艦長であるパク・チソン少領もその1人だ。「金寿鉉」は450トン級誘導弾高速艦で、2014年に就役し東海上の警戒と北朝鮮の商船対応任務を遂行する。パク少領は7月に「金寿鉉」の9代目艦長に就任し50人以上の乗組員を率いている。乗組員で唯一の女性軍人でもある。

2012年に少尉に任官したパク少領は清海(チョンヘ)部隊派兵も2度行った。生徒時代には船酔いで苦労したというが、「『われわれの生命線は海にある』という先輩たちの言葉が胸に響き、艦艇勤務でこそ韓国を最前線で守ることのように見え支援を決心した」と話した。軍艦の指揮官である艦長は乗組員の生命の責任を負う重大な席だ。パク少領は「前方海域では常に敵と対峙しており、戦闘が起きればわずか1秒の差で勝敗が決まることがある。敵がいつ挑発するかもわからない状況で挑発と同時に強力に対応するため緊張を緩めずにいる」と話した。

海軍は潜水艦を導入して31年ぶりの今年、初めて女性の潜水艦乗組員も輩出した。潜水艦は軍内で唯一残った女性のいない職位だった。現在3000トン級潜水艦の「島山安昌浩(トサン・アンチャンホ)」と「安武(アンム)」に9人の女性軍人が乗船している。

陸軍も兵科全面開放後に歩兵・砲兵大隊や非武装地帯(DMZ)など前方で部隊を指揮する女性幹部の活躍が目に見えて増えている。陸軍第22歩兵師団砲兵旅団で勤務中するファン・ヒジョン少領も2022年10月に北朝鮮が東海で砲撃挑発してきた際に前線の最北端防衛を担う砲兵旅団の作戦将校として活躍した。ファン少領は「火力待機態勢が格上げされすぐ射撃を準備したあの日の緊張感をまだ忘れることはできない。その後も北朝鮮の挑発が続くたびにすべての同僚がひとつになって速やかに対応できた」と話した。

彼女はその上で、「女性軍人が戦闘兵科に勤めることに対して懸念の視線を感じる時もあった」と吐露した。「戦闘兵と、特に砲兵将校だと言えば、『砲弾を持つ力があるのか』という非難混じりの言葉も言われたりしたが、砲兵は単純に砲弾を持って射撃する任務だけ遂行するのではない。事実火力を利用した作戦を遂行するにあたってどの兵科より緻密で細かな対備態勢が要求されるのが砲兵だ。そうした点で男性軍人に比べて物理的な力は不足しても女性軍人特有の繊細さで十分に克服できると考える」。ここには戦争の様相が技術戦に変化して武器も近代化しこれ以上身体条件が絶対的な変数でない点も一役買っている。

ファン少領は現在妊娠5カ月目だ。妊娠の事実を初めて知った時は喜びよりは心配が先だった。彼女は「砲弾射撃にも出て行かなければならず前方点検もしなければならないのに妊娠した体でこなせるか懸念したが、杞憂にすぎなかった。先に出産と育児を経験した男性の先輩たちの助けもたくさん受け、女性軍人が増え妊娠した女性軍人向けの各種制度がしっかり備わっているのも鼓舞的」と話した。

陸海空を問わずこれら女性軍人は「軍人として体験する困難はあっても女性軍人だからと大変な点はない」と口をそろえた。ただ軍が推進する男女平等政策がほとんど育児や保育にだけ焦点が合わされているのは補完すべき点に挙げられた。軍がもともと男性に焦点を合わせた組織だったため閉鎖的で硬直した組織文化が依然として残っている現実も克服課題のひとつだ。

韓国国防研究院のイ・ヒョンジ人材政策研究室長は「青年人口の崖にともなう兵役資源の急激な減少と女性の社会進出拡大など最近の社会の流れを考慮すると女性軍人は今後さらに増えるほかない構造。長期的な観点で大々的な施設改善だけでなく男女軍人が互いを認め共存できるよう人事制度と軍内文化などを持続的に改善していかなければならないだろう」と助言した。