(CNN)デンマークの考古学者が、同国東部にあるバイキング時代の広大な埋葬地で「極めて保存状態の良い」50体以上の人骨を発掘した。

オーデンセ博物館のチームはこの半年間、面積およそ1997平方メートルの9世紀から10世紀のものとされるオースム遺跡の発掘調査を行ってきた。

博物館のチームによると、人骨はデンマークのものではない副葬品とともに埋葬されており、バイキングが交易のために広範囲に移動していたことを示唆している。

オーデンセ博物館の考古学者でキュレーターのマイケル・ボレ・ルンド氏はCNNに対し、「バイキング時代の遺体は歯が数本見つかるだけで良いほうだ」と話し、バイキングの人骨がこれほど良好な保存状態で見つかるのは非常に珍しいと述べた。

「遺跡の地中に多く存在する石炭質岩石が骨の保存性を高めたほか、天然水も豊富にある。バイキングの遺体は長い間、水に覆われていたため、骨の腐敗を遅らせることができた」とルンド氏は指摘した。

考古学者らが発掘調査に呼ばれたのは、電力網の改修作業の一環だったという。ルンド氏は「バイキングの遺体が埋葬されているなんて、まったく想像もしていなかった」と話す。

「今回の発見は、埋葬された人々の健康状態や食生活、出自などを詳しく知り、幅広い科学的分析を行う絶好の機会となる。分析によって、埋葬されたバイキングが血縁関係にあったかどうかも明らかになる可能性がある。これについては、同様の埋葬地でこれまで調査が実施されたことがないので、特に重要なことだ」

また、人骨とともに埋葬されていた副葬品も、亡くなった人々の社会的地位や交易のために移動した距離などを知る手掛かりになり得るという。

今回発掘された人骨の中でおそらく最も重要だったのは、棺(ひつぎ)として使用されたバイキングの荷車の中に埋葬されていた女性の人骨だろう。

ルンド氏はプレスリリースの中で次のように述べている。「この女性は、おそらく自身が乗っていた荷車の中に埋葬されていた。女性は最高級の衣服や持ち物とともに埋葬されたと考えられる。美しいガラスビーズのネックレス、鉄製の鍵、銀糸の柄のナイフ、そして特筆すべきは、お守りとして使われていたと思われる小さなガラスの破片だ」

「荷車の足元には、精巧な装飾が施された木製の箱があったが、その中身はまだ明らかではない」

近くに埋葬されていた別の人物の墓からは、三股に分かれた青銅製のブローチや赤いガラスビーズ、鉄製のナイフ、小さな水晶片が発掘された。

ルンド氏によると、特に興味深いのはこの水晶だという。

「水晶はデンマークでは自然に産出しないため、ノルウェーから持ち込まれた可能性が高い。今回出土した複数の副葬品が、バイキング時代にバイキングが発達した国際交易ネットワークに関係していたことを示している」

リリースによると、この埋葬地の発見は、オースムが最も初期の都市開発の重要な地理的拠点であり、最終的にデンマーク第3の都市であるオーデンセの形成につながったことを裏付けているという。

現在も考古学者らは埋葬地の一部で発掘を進めているが、人骨と副葬品の大半は博物館に保管され、さらなる調査が待たれている。人骨はいずれ首都コペンハーゲンに送られ、科学者らが人骨からDNAを抽出する計画だ。

ルンド氏は「人々の年齢や性別、病歴、血縁関係など、さらなる情報が得られるだろう」と述べている。