[画像] 【ナカモトフウフ】1年で工場をクビになったADHD男性の「絶望人生」が、その後「年収1000万円」に大逆転できたワケ

チャンネル登録者数110万人(2チャンネル合計)の動画クリエーターとして活躍するナカモトフウフ。ADHDである夫・ダイスケさんの日常を妻・ちゃんまりさんが紹介する動画の再生回数は600万回を超え、投稿から数年経った今も再生回数を伸ばし続けている。

自分がADHDだと知らず社会に馴染めないことで自己否定し続けた日々、ホームレスへと転落した厳しい現実については、著書である『ADHDの旦那って意外と面白いんよ 本気で発達障害に向き合った夫婦の物語』に赤裸々に綴られている。

俺は障害者。異常者じゃなくてホットした

20代前半、社会生活ができない自分に疲れ果て、もしかするとサイコパスや自己愛性パーソナリティ障害じゃないかと思い、病院に調べに行くことにした。

診断結果はADHD。ADHDのことなど、ほとんど知らなかった。ネットにも、まだ情報が少ない時代だったから。

「何かよくわからないけど俺は障害者だったんだ。異常者じゃなくてホッとした」

このときに僕が感じたのはその感情だけ。

特に治療は受けなかった。お金がないのが大きな理由だったが、自分が異常者ではないことを知れたというだけで満足だったから。

原因がわかれば対策もできる。この診断が「救いの光」に感じられた。

ADHDの特性を知ったことが転機に

ADHDは、自分の好きなことには熱中できるけど、苦手なことは全くできないという特性を知れたのも転機だった。

当時、自分が一番好きだったものはカメラ。誰とも関わらずに済むし、仕事の帰りによく海に夕日を撮りに行っていた。

カメラにのめり込んだ僕は、組織に属する生活からのリタイアを選択し、独学でプロになることを目指すようになる。お金がなくても生きていく術はホームレス時代に学んだので、安定がどうとか貧困がどうとか、そういった類の恐怖心はもうなくなっていた。

とにかく好きなことをやろう。ここからの人生は、「好きなこと」のみにフォーカスするようになった。

第二次ホームレス生活に突入

ADHDの診断を受けた1カ月後、僕はカメラひとつ持って沖縄を飛び出し、愛知県に住んだ。このときに「俺は一生組織には戻らない」という決意を持ち、見えるところからタトゥーを彫りまくった。

「そんなにタトゥーを入れて後悔しない?」「子どもができたときのこと考えないの?」とよく聞かれるが、タトゥーごときで後悔できるのも、子どものいる未来を描けるのも、全ては正常な人だけに許された特権だ。そんなことにフォーカスしているヒマはない。

趣味カメラマンがいきなり写真で飯を食えるはずもなく、資金を貯めるために工場で働くことにした。皮肉なことにタトゥーが原因となり、1年経たずにクビになった。

そして第二次ホームレス期に突入。

このときホームレスになったのは、実は確信犯だった。

第一次ホームレス期に得た知識と経験から、ホームレスとして生きていくには月にいくら必要かを僕は知っていた。

コツを押さえれば、月3万円で、そこまで汚らしくない程度には生きていける。工場の期間工で貯めたお金が60万円あったので、多少贅沢しても、ホームレスであれば1年半はもつ。

わけわからん組織で、わけわからん時間の奪われ方をするくらいなら、ホームレス生活の方がまだ夢に集中できる。

好きなことをつきつめ1年後には年収1000万円に

貯金が尽きる前にプロカメラマンになればいい。ダメなら新薬の治験アルバイトをしてホームレス。この繰り返しが一番効率がよかったので、完全なる合理性重視の計画的ホームレス生活だった。

それほどまでに組織で生きられないのがADHDなのだ。

貯金が尽きるギリギリで僕はカメラマンとして食べていけるようになり、1年後には自分のスタジオを持ち、アシスタントまで雇えるようになった。

誰の指図も受けず、組織のストレスにも潰されずにADHDを乗りこなして自分は自立できている! ほんの少しだけ、人生で初めて自信が持てたこの時期に出会ったのが、今の妻だ。

もうADHDを乗りこなしていると確信していた僕は、今の妻と付き合う際に、とても軽々しくカミングアウトをしたのを覚えている。

好きなことを見つけて、どんなかたちでもいいのでそれを続けることで初めてついた自信。

その自己肯定感があれば、生涯を言い訳にする必要がなくなるので、カミングアウトを容易にすると感じる。カミングアウトされた人がそれをどう思うかはまた別問題だし、二人で一生を共にすると決めた後の苦しみは、また別問題ですけどね。

…つづく<当事者が語る「「ADHDの自分が社会にどう適合するか」の前に、もっとも考えるべき「大切なこと」>では、ADHDを認めたうえで生きるには何が一番のリスクになるかを語ります。

交際から合わせて約7年の間に起きたことや学んだことをADHDの当事者(夫)とパートナー(妻)それぞれの目線で激白。ADHDという障害に悩み、向き合い、乗り越えるまでのリアルな日常をマンガとともに紹介している。

当事者が語る「ADHDの自分が社会にどう適合するか」の前に、もっとも考えるべき「大切なこと」