[画像] 夫急逝で「年金月6万円」に減額の66歳妻、窮地に…ある日、年金機構からの「緑色の封筒」が教えてくれた「申請しないともらえない年金」に涙

年金は待っていればもらえるものではなく、申請しないともらえるものではありません。また年金にプラスしてもらえるお金もあり、それもまた申請しないともらえません。知らず知らずに損をしていないか、確認が必要です。

日本年金機構から届く「緑色の封筒」で知る「申請すればもらえる年金」

総務省によると、東京23区の今月の消費者物価指数は、速報値で生鮮食品を除いた総合で2020年を100とした場合107.3となり、去年の同じ月より2.0%上昇しました。一方で、政府による電気・ガス料金への補助が再び始まったことで、上昇率は5ヵ月ぶりに縮小しました。

物価高分だけ収入が増えれば問題ありませんが、すべての人がそううまくはいかず、特に収入のすべて、またはほとんどが年金だという人たちは苦しい思いをしてきました。

加藤久美子さん(仮名・66歳)。昨年、自営業を営んでいた哲也さん(享年68)が逝去。

――夫の収入のほか、年金が夫婦で月13万円強。夫が亡くなり、収入は私の基礎年金だけ。2人が1人になって生活費も2分の1になったら楽なんでしょうけど、そうはいかないんですよね

総務省『家計調査 家計収支編 2023年平均』によると、高齢者夫婦の1ヵ月の支出は25万0,959円。一方で単身65歳以上世帯の1ヵ月の支出は平均14万9,033円と、夫婦の支出の6割。加藤さん夫婦が夫婦の年金月13万円で生活していたなら、夫が亡くなったあと、年金月6万円の生活では、かなり苦しいものがあります。

――切り詰めて、切り詰めて、生活しているんですよ。でも年金月6.8万円(令和6年度)ではとても足りませんよ。少しずつ少しずつ貯金を取り崩していますが、いつ底をついてしまうか……びくびくしています

あまりに生活が苦しいので働きに出ようかと思ったものの、持病である腰痛が悪化。夫を亡くしたことなどもあり、精神的にも追い詰められ、とても働きに外に出られるものではありません。まずは心の回復を……そう考えているときに、ひとつだけ嬉しいことがあったといいます。

――日本年金機構から届く緑色の封筒ってあるじゃないですか。あれがうちにも届いて。ちょっとだけですけど、助かりました

緑色の封筒で救われる高齢者…全国で780万人

日本年金機構から届く「緑色の封筒」のことを笑顔で話してくれた加藤さん。封筒のなかに入っていた年金生活者支援給付金の申請書は、必要事項を記載のうえ送り返すだけで、いつもの老齢基礎年金に年金生活者支援給付金がプラスされ受け取ることができるようになります。

逆をいうと、どんなに受給資格があろうとも、申請しなければ受け取ることはできません。

この年金生活者支援給付金、「65歳以上の老齢基礎年金の受給者」「同一世帯の全員が市町村民税非課税」「A闇の公的年金等の収入金額とその他の所得との合計額が88万9,300円以下*1、または887,700円以下*2」のいずれも満たしていることが条件。

給付額は月額5,310円を基準に、保険料納付済期間等に応じて算出されます。また収入が年78万9,300円を超え88万9,300円以下*1、または78万7,700円を超え88万7,700円以下*2の場合は、「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給されます。

*1:昭和31年4月2日以後に生まれ

*2:昭和31年4月1日以前に生まれ

厚生労働省『令和4年厚生年金保険・国民年金事業の概況』によると、老齢年金生活者支援給付金は780万4,320件に支給。これは65歳以上の高齢者3,623万人の15.6%にあたり、ひとりあたりの平均給付額は3,930円でした。

また年齢別でみていくと、70歳未満では45万件、70〜74歳で70万件、75〜79歳が81万件、80〜84歳が93万件、85〜89歳が85万件、90歳以上が85万件でした。就業による収入が可能なうちは受給件数も少なく、年齢と共に働けなくなる人も増えていくに従い受給者も増えていくことがわかります。

――もらえるのは1年で6万円ほど。焼け石に水程度のお金ですが、それでもありがたいですね

と加藤さん。久々に笑顔になれたといいます。

[参考資料]

総務省『家計調査 家計収支編 2023年平均』

厚生労働省『年金生活者支援給付金制度について』

厚生労働省『令和4年厚生年金保険・国民年金事業の概況』