あえて過疎地に出店。コンビニエンスストア「ローソン」の狙いとは。
大阪市内から車で約3時間、和歌山県田辺市龍神村。山間の道を抜けたところにある人口約2600人の小さな村です。
10月4日午前10時前、龍神村初のコンビニ「ローソン」がオープンすると、開店を待ちわびた人たちが次々と店に流れ込みます。開業した「ローソン龍神村西店」の面積は通常のコンビニ店舗の約1.4倍。品ぞろえも、ちょっと違います。
(中野広大アナウンサー)「こちらには龍神村産の商品がそろっているんですね。サツマイモやピーマンなどすべて龍神村産です」
“焼きナスをするとおいしい”という「みどりなす」に、地元でとれた極早生のみかんなどが並びます。さらに、食卓には欠かせない玉ねぎやニンジンの詰め放題のほか、10個入りの卵なども販売していて、コンビニらしからぬ売り場となっています。というのも、この店舗、去年7月に撤退した村唯一のスーパーの跡地に進出。これまで最寄りのスーパーやコンビニまで車で30分以上掛かっていたということで、利用者のうれしさもひとしおのようです。
「ありがたいですね〜。支払とか、ちょっとしたい買い物とか、最高です」
「待ち焦がれていました、10月4日を。ちょっと不自由してたから、お買い物に」
「龍神はお年寄りが多いから、(カートが)あってよかった」
スーパーの代替機能の役割もあることから、生鮮品に加え、高齢者にはうれしいすぐに食べられる冷凍食品などを充実させています。3500ある品目は都市部の店と同じですが、並べる比率を工夫しているそうです。カウンターでの公共料金の支払いやコピー機の設置などサービス面での遜色はありません。
(コピー機を利用する人)「息子の受験で必要で、毎回40分くらいかけて山を下りてプリントアウトしに行ってたんですが、ここにできてすごく便利」
さらに、この店舗でユニークなのは、座敷風の広いイートインスペースです。「地域の交流の場」となることを想定したつくりとなっています。村の人たちにとってはうれしいことづくめですが、経営する店側にとってこうした過疎地への出店は採算が取れるものなのでしょうか?
(ローソン近畿カンパニー 和田祐一専務)「スーパーの跡地をうまく活用して出店のコストを抑えた。賃料も都市部に比べるとそこまで高くない。採算ベースにあうんじゃないかと」
初期投資を抑え、建物だけでなく、客もそのまま引き継ぐ。また、周囲に競合がないことを逆手に、ローソンではこの店舗以外にも北海道や富山県でもスーパーの跡地に店を出すなどしていて、条件が整えば今後も過疎地への出店を増やていきたいとしています。
(和田祐一専務)「培ったノウハウを他の地域で、色々なケースにあてはめてみて、いけるものは使う、改めるものは改める。高齢化における日本のマーケットに対して、更なるチャレンジをしていきたい」
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