お客1人にビール1本と乾き物1皿を売ってせいぜい1日2万ウォンの売り上げを得るビアホール、1日14時間年中無休で働いてようやく生活費程度だけ稼ぐクッパ店、4カ月にわたり家賃を滞納しているチヂミ店…。

今週中央日報が5回にわたり報道した2024年自営業リポートに紹介されたエピソードだ。自営業者が厳しいというニュースはきのうやきょうのことではないが、統計の数字の裏に表に出てこない665万人の自営業者の貧困と高齢化のような危機の深刻性とその解決が急がれるということを如実に見せた。中央日報特別取材チームがソウル大学に近い商圏の自営業者の店舗28カ所に尋ねると月平均所得が200万ウォン以下という回答が所得を公開した26カ所のうち42.3%の11カ所にも上った。

実際の統計値も特に変わらない。韓国統計庁によると4−6月期に労働者を除いた自営業者の月平均事業所得は201万4857ウォンで、賃金労働者世帯平均所得の480万9675ウォンの41.9%にすぎなかった。所得が高くないため人を雇うことは考えることすらできない。無給家族従事者を除き全自営業者の75%の430万6000人が1人自営業者だ。稼げないため負債だけ増える。6月末の個人事業者延滞額は17兆3000億ウォンで1年前の9兆2000億ウォンから2倍水準だ。このため結局耐えきれずに廃業を選択する事業者が増えた。昨年廃業した個人事業者は91万人で、コロナ禍の最中だった2019年の85万人より多かった。

韓国は自営業者がとても多い。企業が作る良質の雇用は不足し創業の敷居は低いからだ。昨年韓国の就業者に対する自営業者の割合は23.2%で、経済協力開発機構(OECD)加盟国のうち5位だった。最近韓国の自営業者の割合がやや下がったが10%を超えない米国、日本、ドイツなどに比べると依然として高い。起業しやすい環境を作って企業が提供するそれなりの働き口が増えるようにすることが自営業の割合を減らす正攻法であることは周知の事実だ。

これまでの自営業対策の骨子も概ねそのような方向だった。生計型創業がレッドオーシャンにならないよう過度な市場参入を抑制し、コンサルティングなどを通じて自営業者の競争力を育て、職業教育などで転職を誘導し廃業負担を減らして競争力を喪失した店舗の退出を誘導する内容だった。

こうした自営業対策は長い間の悩みの産物ではあるが、すぐにでも息が絶えそうな現場から見ると十分でないのが事実だ。中央日報の記事によると自営業者のうち60代以上が最も多い。2000年には17.6%にすぎなかったが現在は37.3%に達する。70歳以上は25万人、80歳以上も3万人を超える。自営業者の主流に浮上した高齢の生計型自営業者を転職訓練などを通じて賃金労働者にするのは限界がある。

自営業は職場から押し出された中高年層が糊口の策として選択するケースが多い。福祉先進国より不足するセーフティネットの役割を自営業がしているわけだ。民間消費をはじめとしてマクロ経済指標の素顔をリアルに伝える不況のリトマス試験紙になったりもする。いま自営業者が厳しいのは内需不振がそれだけ深刻だという傍証だ。

尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権は労組に加入していない未組織労働者に対する政策的関心を表明してきた。しかし組織労働者に比べ冷遇されてきた自営業者の声にも耳を傾ける政府と政界の努力は不足する。自営業者と彼らが雇用した賃金労働者は1000万人に達する。国民の20%もなる彼らが票に大きくつながらないからと疎外され放置されてはならない。