パワハラ疑惑などで内部告発を受けた兵庫県の斎藤元彦知事が県議会から不信任を突き付けられた。斎藤氏は29日までに、議会を解散するか、辞職・失職するか選択しなければならない。不信任決議を受けた知事が議会を解散した例は過去にないが、斎藤氏は可能性を否定しておらず、各会派は選挙の準備に動きだしている。

 不信任決議から一夜明けた20日、斎藤氏は登庁せず、X(旧ツイッター)を更新。今後の対応について「大きな、重い判断になる。しっかりと考え決める」と改めて強調した。県によると、21〜23日の3連休も公務の予定はない。

 県議会は19日、斎藤氏の不信任決議を全会一致で可決し、斎藤氏に通知した。地方自治法の規定では、通知から10日以内に議会を解散しなければ知事は失職する。議会を解散すれば40日以内に県議選が行われ、改選後の議会で再び不信任決議を受ければ失職する。辞職・失職した場合は50日以内に知事選となる。

 知事の不信任が決議されたのは今回で5例目。総務省によると、過去の4件はいずれも失職か辞職を選択しており、議会を解散した例はない。

 県選挙管理委員会事務局によると、県議選には約16億円、知事選は約18億円の費用がかかる。早期の衆院解散・総選挙が取り沙汰される中、担当者は「選挙の日程は国政の動きもにらみながらの検討になる」と話した。

 県議の中には、選挙に備え、事務所や選挙カーの確保などを進める動きが出ている。自民党県議は「解散は現実味がある」と指摘。公明党県議は「県議選では何を訴えればいいのか」と、解散を排除しない姿勢を示す斎藤氏に反発した。