といっても、彼らも初めから成功していたわけではありません。地道にコンテンツをつくり発信し続けたことで、今のポジションがあると思います。私がコンサルティングをしている生徒さんにも、「成功したいならYouTubeに本気で取り組め!」と再三伝え続けています。

水野:わかっていても、中小企業ではマンパワー不足、大手企業ではコンプライアンスにひっかかり、YouTubeに参入できないジレンマがあるように感じます。

林:大手企業がYouTubeを行うには、いろいろな制約があって難しいのかもしれませんが、特に中小企業はそういったこともないはず。多くの視聴者を獲得できるエンタメ系の企画は上場していない中小企業だからこそできる、という面もあります。売上拡大も知名度も両方叶えられるものは、そうそうありません。YouTubeありきで始めた事業はたった2年で約6億円の利益がでました。2年ですよ、2年。

水野:とてつもない爆発力ですね。

林:「結果を出すためには多くのフォロワー数がいるんでしょう」という方もいますが、ビジネス系YouTubeにおいては、YouTubeからの収入に頼るすようなユーチューバーになる必要はありません。広告宣伝と割り切った使い方もできます。

 別の事業でYouTubeチャンネルを立てたとき、200回の再生回数しかありませんでしたが、そこからでも数千万円規模の契約が決まっていました。月50万円のサービスを契約してくれる方も実際存在していました。

 広告費の単価としても、YouTubeのコスパは群を抜いています。例えばリスティング広告で仮に1クリック300円で1万回クリックされた場合、300万円かかる計算になりますが、YouTubeであれば、動画制作費3万円をかけて1万回再生されたら3万円で済む計算になります。YouTubeをやらない理由はありません。「やる」一択です。

水野:ちなみに、Xで年初にポストしていた【2024年、ビジネスとYOUTUBE、林の11の予言】で「上記の予言を超えたすごい企画を林が岩井さんに提案し、令和の虎をより進化させる」と書かれていました。その内容とは……?

林:実は今、水面下で映画化の話が進んでいます。今はそれだけしか言えません!(笑)

◆とにかく動く! 今を楽しむ! それが成功の秘訣

水野:最後に、今後の林さんの展望を教えてください。

林:今後もさまざまな新規事業をしていきたいと考えています。そのひとつが「FiNANCiE」(フィナンシェ)です。これは、ブロックチェーン技術を活用したトークン型のクラウドファンディングサービスのことです。

 これまでは、企業が拡大し仮に売却などを行っても、その利益を受け取るのは株主など限定された人のみでした。しかし、正確に言えば、企業を支えてくれたのは株主だけではありませんよね。そのサービスを初期に利用してくれていたユーザーやクライアントなどが、確実にいたからです。

 ところが、これまでは株主以外の方々に還元できる方法がありませんでした。その点、FiNANCiE(フィナンシェ)のサービスを使えば、成功を下支えしてくれたすべての方に「恩返し」ができることになります。これは、今までの常識を覆すサービスとなりうるのではないでしょうか。

 そういう意味で私は、武田塾のような「これまでにない画期的なサービス」をこれからも生み出し続けていきたいと思っています。

◆【インタビューを終えて(水野)】

 毎晩キャバクラで豪遊し、時には一晩で1,000万円使うこともあるとか。

 そもそも「授業をしない塾」という「武田塾」のキャッチフレーズもぶっとんでおり、毎晩、銀行口座がゼロになるまでお金を遣い、通帳の残高をXで公開するなど、破天荒エピソードも耳にする。しかし、そうした常識離れした振る舞いも“宣伝広告費”と割り切っているのかもしれない。

 常識外れの発想の持ち主であることは間違いないが、取材陣に大量の差し入れを用意してくださり、物腰も紳士的で話ぶりも丁寧な常識人の一面も持つ。若くして、ビジネスでもYouTubeでもトップグループを走るだけあり、懐の深い大人物だった気がする。

【プロフィール】林 尚弘
1984年生まれ。学習院大学法学部卒。日本初!授業をしない。武田塾の創業者。フランチャイズ展開8年で400校舎年商130億円に。経営コンサルティングを手がけるほか、令和の虎に出演。多くの事業を成功に導く。著者に『予備校に行っている人は読まないでください』『参考書だけで合格する方法』がある。

<取材・文・構成/水野俊哉・掛端 玲 撮影/大久保尚希>

【水野俊哉】
1973年生まれ。作家。実業家。投資家。サンライズパブリッシング株式会社プロデューサー。経営者を成功に導く「成功請負人」。富裕層のコンサルタントも行う。著書も多数。『幸福の商社、不幸のデパート』『「成功」のトリセツ』『富豪作家 貧乏作家 ビジネス書作家にお金が集まる仕組み』などがある。