[画像] 洪水に耐えた広西チワン族自治区の明代古塔、ネットで話題に

洪水に耐えた広西チワン族自治区の明代古塔、ネットで話題に

 【新華社南寧9月17日】中国南部を襲った超大型の台風11号は、広西チワン族自治区崇左市にも猛烈な暴風雨をもたらし、市内を流れる14河川の19地点で警戒水位を0.07〜5.04メートル上回った。その中、川幅を大きく広げた左江の中島で、流れにあらがうように立ち続ける古い斜塔の姿がインターネットで広まり、話題を呼んだ。

 ネットの映像を見ると、水位が増した川の水が塔を完全に取り囲み、塔身の両側を勢いよく流れていく。塔が立つ小島は既に水没しているが、塔身は損傷を受けていないように思える。SNSでは、洪水に立ち向かう塔を広西の人々の不屈の精神になぞらえる投稿も見られた。

 斜塔は地元を代表する歴史的建造物で、左江帰竜斜塔と呼ばれる。同市江州区太平鎮付近を流れる左江の川中の鰲頭山(ごうとうざん)島に立つ。5層八角形の楼閣式磚塔(せんとう=れんが塔)で、明の天啓元(1621)年から崇禎2(1629)年にかけて建立され、2019年には長い歴史と優れた建築技術が評価され、全国重点文物保護単位(国宝・重要文化財)に指定された。

 塔が幾度の洪水に見舞われながらも400年以上倒壊を免れたのは、優れた設計のおかげだという。同市文物管理センターの呉肖樺(ご・しょうか)主任によると、斜塔の塔基(土台)は楕円(だえん)状で、水の押し寄せる方角がすぼんでいるため、衝撃をかわすことができる。また、塔基は岩石に固定され、流出を防いでいる。塔身は内と外の二重構造により構造上の安定性を高めており、川上に向かって傾斜していることから、大規模な洪水にも耐えることができるという。

 考古学的測量では、塔身が基礎を設けず、方形に切り出した敷石の上に直接れんがを積み上げていたことが分かった。東側に積まれたれんがは45個、西側は43個で2個分(約12センチ)の差があり、1層目の塔柱は南東側が高さ2.6メートル、南西側が2.44メートルと16センチ違っていた。

 測量の結果、斜塔は建立時に塔身を意図的に南西方向へ1.41メートル傾けていたことが判明した。傾斜角度は4度36分46秒で、一般的な斜塔が地盤沈下や自然災害などで建設後に傾いたのと異なり、左江帰竜斜塔は意図的に傾くように設計され、それが独特の魅力となっている。

 塔が今回の台風でも洪水にあらがえたのは、当初の設計によるものだけではない。呉氏は「過去二、三十年で斜塔に施した緊急修繕や日常の維持管理が確実に効果を発揮した」と指摘。文物管理センターはここ数年、斜塔の緊急修繕プロジェクトを2度実施し、基部や塔身を強化したほか、日常の巡回点検や保守管理にも力を入れていると説明した。(記者/陳一帆)