ショートカットの例で言えば、ロングヘアの人がばっさり髪を切ったとき、欲しい言葉は「ショートカットのあなたも素敵だよ」という肯定ですよね。こちらの好みや印象どうこうじゃない。その褒めは誰のためになっているのか? その人のためなんです。「似合うね」と言われたら嬉しいじゃないですか。嬉しいってことはそこで何かしらの生産性を生むんです。たとえば笑顔とか。気分がよくなるっていうことも生産性ですよね。
◆職場において「叱る」と「褒める」は理性
軍神:「相手を幸せにする」という視点に立つと、人が褒められたいところ、肯定されたいところが見えるようになってきます。職場や家庭、友人関係、いろんな集団のなかで『利他褒め』をして下さい。生産性を生みますから。家族間であれば家庭円満、会社であれば成果を上げることにつながります。
職場に嫌な上司やムカつく部下がいるなら、部署やチームの人全員でその人を褒めまくってください。上司であれば「○○さんに相談すると的確な答えをくれるので嬉しいです」とかね。こういったことを全員に言われてみて下さい。「あ、自分ってそういうやつなんだ」と、ポジティブな部分を伸ばしたくなる。もっとみんなのために頑張ろうという意識になる。承認を満たされると気持ちいいですから、もっと貢献したくなるんです。
――嫌いな人を褒めるのは嘘臭くなりそうな気が…。
軍神:大丈夫! ムカつく人でも良いところは必ずあります。それも「相手を知る」です。人に嫌われたくて行動する人なんかいない。それなのになぜ嫌われてしまうかというと、それが嫌われる行動だとわかってないから。そこを踏まえ上で相手を知っていくと良いところも見えてくる。そこを褒めまくるんです。
――感情は置いといて良いところ褒める?
軍神:そう、職場において叱ると褒めるは理性です。ムカつくからで叱らない。好きだからで褒めない。ちゃんと相手のことを思って叱る、褒める。すべては彼らを良い方向に導くためです。
◆後輩や子供にはたくさん失敗をさせてあげよう
――部下や後輩、あるいは子供が失敗しそうなとき、つい口を出したくなりますが、上手な見守り方や方向の正し方はありますか?
軍神:そこはちゃんとタイミングを見計らう。「こういうことをしたらこうなるよ」といくら知識を授けても、知識と体験が合わさらないと経験にならないので学べない。フォローする心構えだけしておいて、失敗するであろう前提で見守る。人を育てるのはこれがベースです。
明らかに失敗するとわかることであれば、おおまかに「こうなると思うけど、まあやってみなさい」と言っておくのはいいと思います。それで失敗したら「あの人の言っていたことは本当だったんだ」と信頼関係も作れますし。
自分の場合、「たくさん失敗しなさい」と思ってます。自分もたくさん失敗してきましたしね。世の中の人はみんな失敗しまくるから、いいんですそれで。失敗して落ち込みましょう。落ち込んだときが上司や先輩、親が出陣するタイミングです。そのときにメンタリングとコーチングをするんです。
◆絶対にやっちゃいけないこととは?
軍神:部下や後輩、子供が失敗したとき、「ほら見ろ!」と責めないことも指導のポイントです。「でもね、経験をして一個成長できるんだから、今落ち込んだり悩んだりしていることは素敵なことなんだよ」と、起きてしまったことを肯定してあげる。そうじゃないと、失敗を恐れて行動しない人間になってしまうので。失敗を責める、それは絶対にやっちゃいけない。
――たしかに。軍神は失敗して落ち込んでいる人を責めないですね。
軍神:失敗を上司や親が責めると、「失敗したくない、怒られたくない」で、顔色をうかがう人間になるだけで本人の成長につながらない。「いいじゃないの、思い切ってやって失敗しなさいよ。自分がケツも拭くしフォローもするから。安心して行ってらっしゃい」というのが自分のやり方です。
――最後に一つ。軍神はどんな未来を描いてホストたちを指導しているんですか?
軍神:関わるすべての人たちの人生を彩り、ホスト業界と社会を繋ぐこと、それが自分のミッションだと思って指導をしています。自分はお金持ちになりたいとか、成功したいとか、そういう欲は一切ないんです。その人がより良くなる手助けをする、人を幸せにする、それが自分の人生の意味なので。これからもそのために生きていきます。
<取材・文/ささきみどり 撮影/瑞姫>
【ささきみどり】
ライター、インタビュアー。建築会社勤務後、出版社、編集プロダクションを経てフリーに。女性誌、ライフスタイルを中心に執筆。趣味は温冷浴とスクラッチキャットのぬい撮り。ぬいぐるみをさも生きている風に撮ることに命がけ。
Instagram:@midori6497
- 前へ
- 2/2
外部リンク女子SPA!