◆消費者に好まれる「味」で商品開発力の強さを見せつけるも…
コーヒー飲料の2023年の販売金額は前年比12.2%増の9338億円。お茶系飲料が5.3%増の8553億円。炭酸飲料が2.9%増の7953億円でした。コーヒーは1.7倍、お茶はおよそ1.1倍の市場規模があります。しかも、旺盛な勢いで拡大しています。
コカ・コーラ ボトラーズは商品開発が巧みな会社。それは数字にも表れています。
日本インフォメーションは飲料頻度の高いお茶系ブランドの調査をしています(「ブランド浸透度調査」)。ブランド浸透度の調査において、認知度が高いトップスリーが伊藤園「お〜いお茶」(認知度94.4%)、サントリー「伊右衛門」(同93.4%)、そしてコカ・コーラ ボトラーズの「綾鷹」(同92.3%)でした。興味深いのは、この3つの中で最も好きなものを調査した結果。「綾鷹」は11.8%で2ブランドを4ポイント近く引き離しました。
認知度はやや劣るものの、消費者に好まれる味においては、強く支持されているのです。
◆王者「お〜いお茶」の牙城を崩せるか
POSデータの加工ツールなどを提供するマーチャンダイジング・オンによると、2024年5月の飲料分野において最も売れた商品は「お〜いお茶 緑茶 600ml」。2位が「お〜いお茶 濃い茶 600ml」でした。「お〜いお茶」ブランドは上位の常連。
2022年8月には累計販売本数400億本を突破しています。販売する伊藤園は大谷翔平選手とアンバサダー契約を結び、大々的な広告活動を開始しています。勢力争いの手を緩めることがないことを示しました。
「綾鷹」の弱点は認知度。伊藤園の広告戦略を跳ね返す、強力なマーケティング活動が必要になるでしょう。
コーヒーにおいては「ジョージア」という強いブランドがあります。この領域は「BOSS」と「ジョージア」の2強状態が続いています。サントリーは派生ブランドである「CRAFT BOSS」を大ヒットさせて勢力図争いにおいて優位に立ちました。
消費者のニーズは多様化し、変化も激しくなっています。激しい開発競争は続くでしょう。
<TEXT/不破聡>
【不破聡】
フリーライター。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、経済や金融に関連する記事を執筆中。得意領域は外食、ホテル、映画・ゲームなどエンターテインメント業界
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