大戸屋の今後を占う!

 今後の出店戦略として、大戸屋は郊外・ロードサイドへの出店体制を強化するようだ。これは、コロナ禍で立地の偏在からの反省を踏まえた上での結論みたいである。また、成熟した外食産業の中で市場規模の縮小も視野に入れ、同業他店だけでなく異業種・異業態の動向も注視しながら、店舗・商品戦略の柔軟な対応も念頭に置くようだ。

 今後の中長期的計画によると、店を取り巻く環境(国内総人口減少、原材料価格の高騰など)に適切に対応して、売上高増による利益体質の強化にベクトルを合わせ、経営指標として2027年3月期の売上315億円、EBITDA (利息、税金、償却前利益)30億円、ROE(自己資本利益率)15%を目標値にしている。

 特に力を入れているのは人材基盤の強化とのことだ。多様な働き方や活躍機会の提案等を推進することで、より従業員のモチベーションを高め、人材の定着を実現していく対策を強化している。

 最近はやよい軒の価格が上がってきたことで、大戸屋とやよい軒の価格差が縮まってきたようである。日本一店舗数が多い弁当事業をコアとするプレナスが展開するやよい軒。一方で、M&Aで急速に拡大してきた外食売上ランキング5位のコロワイド。双方が明確な差別化手段を講じて顧客を奪い合う競争には見応えがある。商品・価格・サービス・立地・販促などで競い合い、その恩恵を享受できることを客さんは期待している。

<TEXT/中村清志>

【中村清志】
飲食店支援専門の中小企業診断士・行政書士。自らも調理師免許を有し、過去には飲食店を経営。現在は中村コンサルタント事務所代表として後継者問題など、事業承継対策にも力を入れている。X(旧ツイッター):@kaisyasindan