店舗の大規模改革など大胆な経営改革に伴う一時的な業績悪化は付き物である。その際、株主から経営責任を問われる可能性が強いための対策である。短期的な利益ではなく、中長期的視野に基づく経営に取り組み、持続的に企業価値を向上させたいことから非上場化に踏み込んだのであり、物言う株主が増える中で、よくある手法だ。

◆「ほっともっと」とのシナジー効果を発揮!

 やよい軒の業績は、セグメント別では売上しか公表されておらず、売上(2024年2月期)は334億6000万円で、前年売上297億2600万円に対して、12.6%伸ばしている。コロナの影響がなくなり客足が回復していることも増加の要因だが、四季折々の季節メニューの販売や公式アプリによる顧客への積極的な発信が、顧客の来店頻度を高めているようだ。

 仕入れ原価の高騰や諸経費の上昇で一部商品の価格を改定したが、客足への影響は軽微のようだ。今年に入り、2024年度第一四半期(3月〜5月)の既存店の売上実績を見ると、3月115.8%、4月114.6%、5月112.8%となっている。プレナスの連結売上は1102億3700万円であり、中核事業の「ほっともっと」が売上構成比68.8%、「やよい軒」が20.9%と約9割を占める事業構造になっている。

 ちなみに、プレナスの費用構造を見ると、原価は48.7%となっており、連結売上の約7割を占める弁当事業のために若干高めである。飲食店は弁当店と異なり、飲食スペースを用意しており、水やおしぼり、その他各種サービスも提供し、なおかつ接客サービス員も必要だから、その分費用が掛かるために、原価は低めに設定しないと採算が合わない。

◆やよい軒の原価率は…

 弁当や惣菜の原価は、外部業者への外注依頼分であるアウトパック品では35%程度で、店内加工品が50%程度が平均のようだ。やよい軒は飲食店なので、飲食店の従来のメニューの原価率は、弁当店である「ほっともっと」のメニューと比べると10〜15%低くしないといけない。そして業界標準であるFLコストの60%内に抑えることが必須となってくる。飲食店は店内メニューをテイクアウトをする場合の売価と原価は同じにしている店が多く、テイクアウトが出れば出るだけ利益に貢献していると推測する。

 プレナス本体の連結自己資本比率は63.6%と財務基盤は強固であり、安定しているようだ。中食のほっともっと事業と外食のやよい軒事業は当然ながらシナジー効果を発揮しており、事業基盤も安定だ。主力メニューの食材を共通化し、スケールメリットによるコストダウンを実現している。

 ご飯のおかわりはライスロボットで、お客さん自らがセルフで行っている。ほぼ全ての店舗に券売機が設置されており、食券購入と共に調理場に伝達され、店員さんが券を回収し、ホールとキッチンが注文を再確認しながらスピーディに料理提供するオペレーションになっている。

 やよい軒も最近の人手不足の影響を受け、営業時間の変更を余儀なくされたり、定休日を設けないと営業できない状態の店もあるようだ。店舗運営の円滑化を求め、現在、その対策も講じている。店舗貸し出し型のフランチャイズ制度や既に実績のある直営店舗を譲渡し、低リスクでオーナーになれるなど、さまざまな制度を導入して店舗網の整備と店舗運営の強化に努めているようだ。

◆業務プロセスを刷新する「大戸屋

■大戸屋
コロワイドの傘下で、相互の強みを融合

 店内調理にこだわり、手作り感で差別化を図り優位性を訴求する大戸屋。だが、やはリそれでは非効率な点が目立ち、価格が割高になってしまい顧客離反を招いてしまった。また、創業者の急死で、創業家と経営陣が経営権をめぐり、対立するなどのお家騒動で社内外が混乱。