2024年6月11日、北中米ワールドカップ・アジア2次予選で日本がシリアを5-0で破ったあと、冨安健洋が「もう若くないですから」と言ったひと言が引っ掛かっている。
開催中のEUROでスペイン代表の神童ラミネ・ヤマル(16歳)が躍動する姿を見ると、冨安の言葉がより重く響く。
1998年11月5日生まれの冨安は現在25歳。確かに、フットボーラーとしては若くない。その冨安と同じ世代の選手は、6月の招集メンバーで見ると、大迫敬介、谷晃生、板倉滉、町田浩樹、伊藤洋輝、橋岡大樹、菅原由勢、相馬勇紀、小川航基、前田大然、旗手怜央、堂安律、上田綺世、田中碧、川村拓夢、中村敬斗になる。今回選ばれた26人中この東京五輪世代が17人と、全体の65パーセントを占めている現状を考えると、日本代表も「若くない」と捉えるべきか。
実際、その下のパリ五輪世代に目を移すと、6月の連戦に招集されたのは久保建英と鈴木唯人の2人だけだった。
U-23日本代表の海外遠征と重なった事情(森保監督がこの遠征を重視したのも把握している)があるとはいえ、この占有率の違いはやや問題にも映る。今後も東京五輪世代、その上の世代に依存するような状況になると、選手間の競争意識が薄まり停滞感を生む可能性があるからだ。
6月の連戦は未招集だった三笘薫(27歳)、伊東純也(31歳)の復帰を望む声が多数聞かれる。しかし、あくまで年齢的な側面から考えれば、この2人の復帰待望論は危険な兆候とも言えるだろうか。
勘違いしてもらっては困るが、三笘と伊東の実力を疑問視しているわけではない。日本代表の目標は選手の言葉を拝借すれば「ワールドカップ優勝」。そのためのチーム作りにおいて、選手層の厚みなどを考えた場合にパリ五輪世代以下のタレントのさらなる突き上げがないと厳しいと、その点を主張したいだけなのだ。三笘と伊東を呼ぶべきではないと述べているわけではない。
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ちなみに、26年のワールドカップ本大会は三笘が29歳、伊東は33歳で迎えることになる。そこに着目すれば、著者の意図が少しは理解してもらえるだろうか。他の選手も今より2歳、歳をとるのである。歳と実力は関係ないとの見方もあるが、無関係と断言できるものでもない。
少なくとも、チームのピークをワールドカップ最終予選に持ってくるべきではない。アジアカップでの惨敗で目の覚めた部分があることが今となってはポジティブな材料。現状維持ではダメという意味でも、パリ五輪世代以下の選手の奮起に期待したい。
チームのベースを保ちつつ、フレッシュな顔ぶれも試していく。本大会を睨めばそうした戦い方がベターだろう。そんなことは森保一監督も分かっているだろうが、いずれにしても…。
現日本代表においてパリ五輪世代でバリバリの主力が久保ひとりというのは寂しすぎる。最終予選を戦ううえで、この点を森保一監督がどう考え、何をチャレンジしていくか、興味深い。
文●白鳥和洋(サッカーダイジェストTV編集長)
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