[画像] DASH海岸 〜深海スペシャル〜

16度目の春を迎えた、横浜DASH海岸。この日は春の大潮で、1年で最も昼に潮が引く日。
いつもは海の底にある岩をシンタローがひっくり返してみると…「ケフサイソガニ！」
ハサミにフサフサの毛があることから名付けられたこのカニは「初期メンバー、一期生ですよね」
15年前、まだ干潟がない頃、ようやく見つけたオリジナルメンバー。
最初は1匹いれば…という存在だったが、今や岩の下には大群が。
さらに、よりキレイな海水を好むイソガニの姿も。「最高」「うれしいですね」

「これだけいると、DASH海岸はキレイになりますよね」「海のお掃除屋さんですからね」
もし、魚が死んでそのまま放置されてしまうと、やがて腐ってヘドロの元に。
さらには、病原菌の発生源にもなり、海を汚してしまう。
しかし、たくさんのカニ軍団は、死んだ魚を細かく食べてくれ、分解してくれる。
「海をキレイに導いてくれるレンジャー(自然保護官)」と城島。

「レンジャーは、DASH海岸のような干潟から深海までいる」と木村さん。
「深海。男のロマン」とシンタローが言うように、深海は、地球最後のフロンティアと呼ばれる未知の領域。
水深200m越えの海域は、太陽光が届かず、高い水圧がかかる厳しい環境で、独自の進化を遂げた生き物たちが固有の生態系を築く。
そんな深海はDASH海岸すぐの「東京湾の先には深海があって『東京海底谷』」

大都会・横浜からわずか30�劼法∩衞蕨僂泙蚤海�巨大な深海『東京海底谷』。
学者や専門家もその全貌がわかっていない謎多き大渓谷で、“悪魔のサメ"と呼ばれるゴブリンシャークなど学会レベルの魚も多く生息。
そんな深海にも死んだ魚を食べて分解してくれるレンジャー部隊が。
“深海のアイドル"や、最大3mを超える巨大な深海の王者たちが、深い海の環境をキレイにするために、大活躍中だという。

その姿を学ぶため、三浦半島の三崎へ。
今回、お世話になる深海ハンターが、城島とは10年の付き合いの丸十丸船長の小菅さん。
ターゲットは巨大ザメから深海生物まで。水族館や大学の調査にも協力する、まさにディープマスター。
そんな小菅さんは今回のため…「スペシャルなワナ、仕掛けを用意した。奇跡が起こるかも」

小菅さんの船に乗り込み、出航してわずか20〜30分で、東京海底谷の入り口に到着。
このポイントは、4年前に深海ドローンで調査したのと同じ場所。
1000万円越えの深海ドローンを沈め、深海ナマコやタナベシャチブリなど貴重な深海生物を発見した。
この時はカニなどのレンジャー部隊を見る事はなかったが、海底の泥の中や根に隠れているという。

まず、深海のアイドルを捕まえるために、小菅さんが用意していたのがDASH海岸でも活躍中のカゴ。
おびき寄せるためにカゴの中に入れるエサは、ニンニクなどで匂いをつけたサバとイワシ。
このワナを4つ繋げ、水深300mの泥地帯にテンポよく10m間隔で投げ入れる。
12分ほどで、ワナが海底に到着。あとは、深海のアイドルが入ってくれるのを待つのみ。

続いて、深海の巨大な王者用の「スペシャルな仕掛け」
今回のために小菅さんが取り寄せたというこの巨大なカゴは、富山県魚津が発祥とされるカニカゴ。
中にエサを入れ、王者のいる深海400mあたりに沈め、カゴの山を上って中に落ちると出られなくなる。
しかしこの日のロケの前に、安全性と漁のコツを掴むため、計4回の試験操業を行ったが、毎回収穫がゼロ。
その訳は…「乱獲防止のため、網目を大きくしているのでほとんどの魚が逃げてしまう」
しかも、王者は1日に2.6�勸幣紊睚發�こともあり、ポイントを掴むのも難しい。

王者を捕まえる確率を上げるため、小菅さんが用意してくれたエサが…「マグロです！」
それはなんと、メバチマグロの頭。「それをエサにするんですか！？」
三崎町は、マグロの水揚げ日本有数の港。加工の際に出てくる、料理にしても美味しい頭を今回は贅沢に！
旨味が強く、身質が硬いマグロの頭は、エサもち抜群！カゴの中に、先ほどのサバとイワシと共に入れて、深海へ投入！

その翌日、いよいよ引き上げ。まずは、深海のアイドル狙いの4連カゴから。
電動のウインチの力を借り、約15分かけて引き上げ、1つ目のカゴの中に入っていたのは「ユメカサゴ」
深海200m〜300mに棲み、大きな目はわずかな光を感知。別名「ノドグロ」ともいわれ、本家ノドグロと同じように「白身のトロ」と例えられる、濃厚な旨味をもつ。
しかし…「目的のないアイドルじゃないのよ」

さらにもう一匹。「トラザメかな」
身体が虎模様だからこの名が付いたサメで、大人でも40cmほどの小型サイズ。
可愛らしい姿をして、おとなしい性格で、ペットとしても人気だが…「深海のアイドルじゃない」
続く、2つ目と3つ目のカゴにも目的のはアイドル不在だった。

そして、ラストチャンス、最後のカゴの中には…「色々入ってるぞ！？」「アイドルいる！」
まずは、とにかく目を引く巨大なヤツ。それは1.5mのダイナンアナゴ！
その大きな巨体から「アナコンダ」とも呼ばれ、暴れ出したら手に追えず、エビや深海魚なんでも爆食いする。

そして、そんなアナコンダが食べ散らかした残骸を掃除してくれるのが、カゴに入っていた本命。
「これが深海のアイドル！」「オオグソクムシ」
グソク(具足)とは甲冑のことで、その特徴的なフォルムは、深海生物トップクラスの推しを抱える。
桝も家に飾っているというフィギュアを始め、グッズも沢山！
「ロボットのような、異星人のような。会えたよ、深海のアイドル」

「この歯で、どんな死骸も細かく食べちゃう」「色んなものを綺麗に掃除してくれる」
グソクムシは、水中で速く泳ぐことができ、美味しい匂いの元へ素早く駆けつけ、死んでしまった生き物をあっという間に綺麗にしてくれる、アイドル兼環境保護官。

深海のアイドルには出会えた。残るは、深海の王者のみ。
400mの深海に沈めた巨大カゴを20分かけて引き上げ。しかし、1つ目と2つ目は空っぽ。
「王者だなあ…屈しないなあ」
残りはあと1つ。奇跡起こせるか！？

最後の1つを引き上げると…「なんかいる！」「デカい！」「ナヌカザメ！」
4年前の小菅船長との調査でもかかった、1m超えの大型ザメ。
深海400mから上がってきた体長70cmの深海生態系の頂点で、陸に上がっても、七日間生きるという生命力の持ち主。海底を這うように泳ぎ、エビやカニなどを食べる大食漢。
性格はおとなしく人を襲うことはないが、怒っている時は身を膨らませて体を大きく見せる。

「ナヌカザメもレンジャー？」
泳ぎはあまり速くないため、死んでる魚は格好の獲物。ナヌカザメなどでっかいヤツらが食べることで、大まかに分解され、その残りをオオグソクムシや深海の王者がキレイに処理してくれる。
今回はお目に掛かる事ができなかった、深海の王者の正体とは…？
「タカアシガニ」「水族館でよく見る」

その風貌から王者と名付けられる、世界最大級の巨大ガニのタカアシガニ。
凄腕レンジャーとしても活躍し、死んでしまったクジラから小さな魚の分解まで。
食欲旺盛でエサを仲間同士で奪い合うことも。
「会いてぇ〜」「リベンジ行きましょうよ」

魚、サメ、グソクムシ、カニなど、様々な生き物が生態系で重要な役割を持っている。なので…
「僕らも獲ったからには、ムダにしてはいけない」
今回獲れたナヌカザメも、昔から人々に利用され、お肉はかなり美味しい珍味として、九州や山陰地方では知る人ぞ知るご当地食材。
そんなナヌカザメを調理してくれるのが、予定外の食材も至高の料理に変身させる、和のウルトラマンこと福本啓太さん。

一品目は、「幽庵焼きを作ります」
江戸時代、滋賀近江の茶人・北村祐庵が考案したと言われる、万能ダレ(幽庵地)を使った幽庵焼き。
酒・みりんを同じ量火にかけてアルコールを飛ばし、醤油と合わせ、粗熱をとってタレの完成。
そのタレにナヌカザメの身を漬け、香りづけに山椒をまぶして炭火焼きに。
仕上げに木の芽をちらして、『ナヌカザメの木の芽焼き』の完成！
「絶妙な味、美味しい！」「サメとは思えない繊細な感じ」

メインディッシュは、深海ザメならではのあの一品！
サメ肉に、藻塩とコショウで下味をつけ、衣をつけて165℃の油でじっくりと揚げてフライに。
焼いたトーストに、刻んだ春キャベツ、解体中に出てきた肝を茹でてペースト状にし、バターと醤油を混ぜた肝バター醤油をたっぷりとかけたサメ肉フライを挟み、高さ10cmの『ナヌカザメカツサンド』の完成！

「うめえ！ジューシー！お肉みたい！身と肝のバランスが良い」「グラタンってぐらい身がトロンとしてる」
その美味しさに小菅さんも思わず「ナヌカザメでいいでしょ、今日のロケ」とぽつり。
そんな小菅さんに城島が「カニ獲れなくて“カ"ン“ニ"ン」といつものダジャレで返した。
今回は出会えなかったが、次こそは…！