文字通り無敵の井上。そんな偉才にキャリントンが牙をむいた。(C)Getty Images、(C)Takamoto TOKUHARA/CoCoKARAnext

 井上尚弥(大橋)のフェザー級への進級がにわかに囁かれている。

 昨年1月にスーパーバンタム級に上がった井上は、7月の初陣でスティーブン・フルトン(米国)を8回TKOで撃破。続く12月のマーロン・タパレス(フィリピン)戦でも10回KOで勝利。わずか2戦で4団体を統一し、史上2人目(当時)となる2階級での4団体統一という快挙を成し遂げた。

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 今年5月6日に東京ドームで行われたルイス・ネリ(メキシコ)との防衛戦も制した井上は、スーパーバンタム級においても敵なし。圧倒的な強さでもって無敗伝説を作り続けている。

 ゆえに一部のファンから「敵がいないのだから」とフェザー級行きを求める声も上がる。当人は「自分のパフォーマンスが潰されるなら上げることはしない」と警鐘を鳴らしているが、エンターテイメント性も求められるようになってきた昨今のボクシング界だけに、転級を勧める風潮は絶えない。

 そうした世間の声は、瞬く間に広まっていく。そして、すでにフェザー級で実績を積み上げる猛者にも「怪物」を待ち抜ける者が出てきている。現在、WBO同級4位に位置しているブルース・キャリントン(米国)も「打倒・井上」を公言する一人だ。

 現在27歳のキャリントンだが、プロキャリアは11戦無敗(7KO)を誇る実力派だ。255勝(31敗)の戦績を残したアマチュア時代には米代表にも選出されており、一撃が秘められたポテンシャルは高い。

 以前から「俺にはイノウエを狂わせるだけのパワーがある」と豪語してきたキャリントンは、米メディア『Fight Hype』のショーン・ジッテル記者のYouTubeチャンネルに出演。井上が衝撃的なダウンを喫した先のネリ戦の内容をふまえ、自信満々に対戦願望を口にする。

「俺にはイノウエを倒す自信があるよ。もしも、望まれたら日本でやってもいい。ネリ戦でダウンしたことで、イノウエも無敵じゃないと分かった。あの時、ネリが正しく畳み掛けていれば、たぶん勝者は違っていた」

 おそらく井上がフェザー級に向かうのは来年以降になるが、成長著しいキャリントンが怪物に牙をむく日は訪れるのか。その動静を興味深く見守りたいところだ。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]