[5.3 J1第11節 横浜FM 1-1 磐田 日産ス]

 ジュビロ磐田MF鹿沼直生が前節・町田戦(○2-0)の初先発に続いてポジションを掴み、80分間のプレータイムで勝ち点1を手繰り寄せた。試合後には「違う特徴を持った上位2チームに対し、勝ち点3と1を積み重ねることができたのはポジティブに捉えることができる。だからこそ次の試合が大事になる」と決意を語った。

 この日の相手は、ACL決勝進出を果たしたばかりの横浜FM。準備期間では紅白戦の控え組が横浜FM役を務め、入念な対策を講じてきたという。鹿沼は「(サブ組に)最初はすごくやられた」と苦笑い気味に振り返ったが、試合ではその成果をいかんなく発揮。立ち上がりから中盤のミドルブロックで相手の攻撃をことごとく阻み、優勢に試合を運んでいた。

 そうした中、ボランチの鹿沼はボール奪取からFWマテウス・ペイショットにつなげたシーンに表れているように、「(対横浜FMでは)ボールを取った後にチャンスがあるのはわかっていた」という鋭いパスでチャンスメークを担当。さらに守備時には「そういうところを求められて使われていると思う。守備でしっかりやるのが最低限」との言葉どおり、最終ラインのギャップを抜け目なく埋め、クロス対応で素晴らしい危機察知を見せていた。

 もっともその一方、攻撃時のパフォーマンスには課題も感じていたようだ。

「SBが高い位置を取って埋める感じでチャンスはあったけど、そこでチームとしてクオリティーを出せれば良かった。あとは後ろからビルドアップで(森岡)陸とかからもっと上手く引き出せば、もっと上手く剥がせた部分もあった。攻撃の課題は大きかったと思う」

 そう振り返った鹿沼は「攻撃に絡むところをもっと出さないといけない」と指摘。「(ボランチの)力也くんが高い位置を取って、僕ももう少し高い位置を取れば攻撃に厚みを出せると思う。相手を見ながらだけどこれからの課題かなと思う」と改善に向けたビジョンを明かした。

 4月17日のルヴァン杯長崎戦(●0-1)で今季初出場を果たし、J1リーグ戦でも町田戦から2試合連続先発中。過去のシーズンと同様、カップ戦のチャンスをリーグ戦につなげてきた。

「毎年そんな形になってしまっていて、本来は最初から出たいけど……」と苦笑いも浮かべたが、「地道にやり続けて、ルヴァンとかでチャンスをもらった時にしっかりと自分のプレーを出せるように準備し続けるのは怠らずにやっているつもり」と掴んだ信頼は本物。先発2試合での手応えも胸に「これからいろんな状況になると思うけど、ブレずにやっていければ」と決意を新たにしていた。

(取材・文 竹内達也)