ゴールデンウィークがスタートし、全国の観光地は外国人客も増加して活気づく一方でオーバーツーリズム問題が深刻化。人気観光地の大分県由布市では、ポイ捨ての横行や激しい交通渋滞などにより、地元住民が困惑しています。

【写真を見る】ポイ捨ての瞬間、危険な横断、散乱するゴミ、道ふさぐ写真撮影

『危険な道路横断』『ポイ捨て』横行

最大10連休のゴールデンウィークがスタートし、初日から活気づく大分県内各地は、海外からのインバウンド客も多く訪れています。

(観光客)「寿司や刺身などおいしいものを食べる予定」「大分県は初めて。面白い場所に行く予定」

一方で大きな問題となっている「オーバーツーリズム」。観光客が過剰に集中することで地元住民の生活や環境に悪影響を与えています。人気観光地の湯布院では心配が現実に。

八尋記者:
「観光客でしょうか?横断歩道のない道路を渡りました。とても危ないです」「いま女性が紙コップを投げ捨てました」

ゴールデンウィークを迎えた湯布院では、激しい交通渋滞が発生しています。こうした中、観光客とみられる男女4人が信号機や横断歩道のない道路を渡ろうとします。このうち女性1人は赤ちゃんを抱っこしていました。このあとも、別の観光客が道路を無理に横断する様子を何度も確認しました。

自動販売機の近くに設置されているリサイクルボックス。中が一杯になったためか、飲料や食べ物の空容器のほか、ビールの空き缶、割り箸などが周辺に散乱していました。撮影の最中、目の前で堂々とごみを捨てる人もいました。

由布院温泉観光協会 太田慎太郎会長:
「地域の方からお叱りの言葉を受ける。近所のコンビニまで行くまで普段であったら3分で着くところが30分かかる。そういうお声をいただくことは確かにあります」

「マナー行き渡ってない」地元住民が困惑

主要道路の渋滞のほか、街中の小道は車と人の距離がすれすれに。また、道の真ん中に立って写真撮影する姿が…道をふさぐため車が通れなくなっています。

(地元の人)「大変ですね。道が狭いから離合はしょうがないこの時期は」

渋滞を緩和するため、由布市は街中に設置したカメラでリアルタイムの混雑状況を配信。ほかにもゴールデンウィークの渋滞予測を出しています。

また、九州運輸局は観光客のマナーアップを啓発する動画をYouTubeで配信。訪れた人の意識を変えて住民と一緒に持続可能な観光地を目指しています。

由布院温泉観光協会 太田慎太郎会長:
「よりお客様が湯布院のことを好きになってもらって、湯布院のことを大事にしてもらえれば、お互いにお客様も、また住民の方も観光事業者もみんなが幸せになっていく道があるのではないかというふうに考えています」

ポイ捨てなどの迷惑行為について、写真を撮って記録する地域の人がいました。

(地元住民)「きょうは少ないが、山一杯になってカラスやネコが来る日もある。持って帰るマナーが行き渡ってないのかと思う。自分が満足すればいいだけじゃないから」

様々な問題に対して行政や観光協会が対策を進めていますが、観光客自身に責任感を持ってもらうことがまずは第一歩です。